DHCPv6の基本仕様が改定 - RFC 8415

2018/11/27-1

5年間の議論の経て、DHCPv6の基本仕様を改定するRFC 8415が発行されました。 RFC 8415は、154ページあります。 RFC 8415によって、7つのRFC(3315, 3633, 3736, 4242, 7083, 7283, 7550)が上書き廃止されます。

RFC 8415では、これまでは別々のRFCとして定義されていた、DHCPv6基本仕様(RFC 3315,2003年)、DHCPv6-PD(RFC 3633,2003年)、ステートレスDHCPv6(RFC 3736, 2004年)がひとつのRFCとしてまとめられています。

DHCPv6-PD(Prefix Delegation)は、ブロードバンドルータなどのCPEに対してIPv6アドレスプレフィックスを割り当てる用途に使われます。 IPv4ではISPと契約を行っているユーザに対して1つのIPv4アドレスのみを割り当てる方式が一般的ですが、IPアドレス空間が大きいIPv6では単一のIPv6アドレスではなくIPv6プレフィックスごとユーザに割り当てる運用が一般的です。 IPv6にはそのような割り当てを行う仕組みとして、DHCPv6サーバがDHCPv6クライアントに対してIPv6プレフィックスを委任(delegate)する DHCPv6-PD(DHCPv6-Prefix Delegation)という仕組みがあります。 DHCPv6-PDは、DHCPv6サーバとDHCPv6クライアントの両方がルータであることが想定されていることも大きな特徴です。

IPv6には、IPv6アドレスの設定を行うステートフルDHCPv6と、IPv6アドレスの設定を行わないステートレスDHCPv6があります。 これまでは、別々のRFCとして定義されていたものが、ひとつにまとめられたので、以前よりも全体像を把握しやすい構成になっているのかも知れません。(DHCPv6とステートフルとステートレスに関しては、「ややこしいIPv6アドレス自動設定の話」をご覧ください)

これらの他にも、RFC 4242、RFC 7083、RFC 7283、RFC 7550で行われた更新の内容や、DHCPv6に関連するRFCに対するErrataへの対応も行われています。

RFC 8415は、バラバラに散らばっていたDHCPv6関連のRFCをひとつにまとめるとともに、不明瞭となっていた部分を明確にしたものです。 そのため、現時点で実装されている仕様そのものに対して大きな変更が行われるというものではありません。 しかし、仕様の変更もいくつかあります。 たとえば、25章では、定義されたものの使われなかった仕様の廃止もあります。

拙著、プロフェッショナルIPv6でもDHCPv6を解説していますが、RFC 8415による改定にもそのうち対応する必要がありそうです。 ちょうど、プロフェッショナルIPv6の更新版を作っているところで、年明けぐらいに更新版を世に出す方向で作業を行なっていますが、残念ながら今回のDHCPv6に関する内容は含まれていません。 さらに次の更新に含めるかどうか、ですかね。

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