ネットワークスペシャリストでまさかのOpenFlow出題

2013/10/21-1

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が試験を行っている「ネットワークスペシャリスト」という国家資格があります。 昨日行われた、ネットワークスペシャリスト試験の午後II 問2が、まさかのOpenFlow問題でした。

午後IIは、問1(無線LAN)か問2(OpenFlow)の選択でしたが、問2を選べば午後IIの試験が丸ごとOpenFlowという状況だったようです。

OpenFlowがネットワークスペシャリストの試験問題として登場するとは思っていなかった人々も多かったので、一部界隈で比較的話題になっている印象です。 私も、最初は「え?マジで?嘘?」みたいな感想でした。

「OpenFlow」という単語は出てこない

この問題では、「OpenFlow」という単語は一度も登場しません。 書いてあるのは「OF方式」というものです。

試験問題で「OF方式」という単語が登場する部分は以下のようになっています。

 新システムを実現するためには、各開発部門が独自に構築したネットワークを、一つの物理ネットワークに収容する必要がある。そこで、K主任は、物理ネットワークに依存しない、開発部門ごとの論理的なネットワーク(以下、テナントネットワークという)を構築することにし、T君にネットワーク仮想化技術の調査を指示した。
 T君が調査したところ、大別して二つの新しい技術があることがわかった。
 一つは、オーバレイ方式と呼ばれるネットワーク仮想化方式で、レイヤ3ネットワーク上にレイヤ2をカプセル化して、同一テナントネットワークに属するサーバ間の接続用トンネルを作ることによって、ネットワーク仮想化を実現する。
 もう一つは、スイッチを、経路制御などの管理機能を実効するフローコントローラ(以下、OFCという)と、データ転送を行うフロースイッチ(以下、OFSという)に分け、OFSに入るパケットの経路制御をOFCが集中制御する方式(以下、OF方式という)がある。OF方式は、カプセル化を使わず、OFSそれぞれの転送によって実現されることから、ホップバイホップ方式と呼ばれることもある。

OpenFlowそのもののことを「ホップバイホップ方式」と呼んでいるのは見たことがないのと、オーバーレイ方式によってOpenFlowネットワークを構築する場合が全く考慮されてなさそうな点が多少気になりますが、ここで登場している「OF方式」というのは、いかにもOpenFlowの話っぽく思えます。

その後、「OFS内のフローテーブル(以下、f-TBLという)」とか、「Packet In」「Packet Out」「Flow Mod」「Set-Field」という単語が出てくるので、これはもう、「OF方式=OpenFlow方式」であるとしか思えません(笑。

シーケンス図を見ても、おもいっきりOpenFlowです。 問2には設問が3つありますが、3つ目の設問はIEEE 802.1X認証方式とOpenFlowに関してで、以下のようなシーケンス図が登場します。


「ネットワークスペシャリスト 平成25年度秋期 午後II」より

この他、設問1の最後がOpenFlowとTRILL(Transparent Interconnection of Lots of Links)との比較だったりと、なかなか刺激的です(設問中にある「回線を有効利用できる」に関しては、有効利用できる仕組みを自前で設定できればという前提条件があるような気がしなくもないですけど)。

という感じで、「OpenFlow」という単語は一度も登場しませんが、誰がどう見てもOpenFlowですね。

っていうか、それってどうなのよ?

私は「マスタリングTCP/IP OpenFlow編」という書籍の共著者ではありますが、国家資格の試験でOpenFlowが出題されたのは正直驚きました。 OpenFlowって、仕様そのものがまだ激しく変化してますし、そもそも、10年後も残っているのかどうかに関しては、現時点ではまだはっきりしない部分があるという感想です。

選択制の問題なので、その問題を選択しなければ良いだけの話なのですが、OpenFlowって話題にはなっていても、まだそこまで実運用されているわけでもない技術をネットワークスペシャリストの試験で出すのはどうなのかなぁと思わなくもなかったです。

なお、これまでネットワークスペシャリストの資格に全く興味がなかったので、今回はじめて試験の問題を見たのですが、結構難しそうで合格できる自信が全く持てなかったのは内緒です。orz

おまけ

オーム社サイトにて、「マスタリングTCP/IP OpenFlow編」の、はじめに、目次、1章の途中まで、索引をまとめたサンプルPDFが公開されています。 ご興味がある方は是非立ち読みして下さい。

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