中国からネットを分断統治の標準化提案?
IETFに対して中国からと思われる標準化提案が行われています。 その内容は、インターネットを分断することによって自律した運営が行えるようにDNSを変更するというものです。
IETFの議題になっているわけではなく、単にinternet draftとして提出されただけなので、恐らくほとんど相手にされずにRFCになることはないと予想されますが、こういった提案が行われたことそのものが、ニュースになっています。
PCWorldの記事は6月19日でしたが、ICANN44がその記事が出た直後の24日だったこともあり、ICANNでも話題になったようです。
話題のinternet draftは、「DNS Extension for Autonomous Internet(AIP)」というものです。 提案者の所属は、広東商学院(Guangdong Commercial College)、中国電信(China Telecom)、中国移動通信(China Mobile)とあります。 ただ、各筆者のメールアドレスが、yahoo.com.cnだったり、yahoo.comだったり、qq.comだったりするので、本当にそれらの組織に所属している人々がinternet draftを出したのかどうかも多少怪しい気がしなくもないです。
このinternet draftは、インターネットを複数のAIP(Autonomous Internet)に分割することを提案しています。 というよりも、むしろ現時点で既にインターネットが分割されていることを前提としつつ、その条件下でのDNS Rootの在り方を論じているようにも読めます。
ともあれ、AIP draftはDNSのRootを複数に分割して、各AIP内でDNS Rootを持てるようにするというものです。 AIP同士の通信は、専用のゲートウェイを介して行うように書かれています。

draft-diao-aip-dns-00より
draft中にある上記図がわかりやすいのですが、今は.cnの上にあるRootを、各閉じられたネットワーク内で管理できるようにしたいというもののようです。 なかなか大胆な提案です。
このdraftがRFCになるのは、どう考えても不可能な気がしますが、今後こういった傾向の提案が中国や、その他ネット検閲国家から提出される事例は増えるのかも知れないとは思います。
おまけ
なお、余談ですが、このdraftが各所で話題になってからdraftが更新されました。 draftのバージョン00と01の違いは以下のURLでご覧頂けますが、主な変更点は筆者の所属が削除されているところです。
最近のエントリ
- 「ピアリング戦記 - 日本のインターネットを繋ぐ技術者たち」を書きました!
- 1.02Tbpsの対外線!400GbE相互接続も - Interop ShowNet 2022
- Alaxala AX-3D-ViewerとAX-Sensor - Interop 2022
- SRv6を活用し、リンクローカルIPv6アドレスだけでバックボーンのルーティング - Interop ShowNet 2022
- IP中継車とMedia over IP企画 - Interop ShowNet 2022
- SFP型のSDI入出力で4K映像をShowNetにIPマルチキャスト配信 - Interop ShowNet 2022
過去記事