JAIPA「World IPv6 Launch対応について(第2版)」公開

2012/5/11-1

本日、JAIPAによる第2回 ISPのWorld IPv6 Launch対応説明会」が開催され、先ほど、「World IPv6 Launch対応について(第2版)」および「第2回ISPのWorld IPv6 Launch対応説明会」の発表資料が公開されました。

資料が公開されたのは、4月27日に公開された「ISPのWorld IPv6 Launch対応説明会第2回の開催につきまして」というお知らせの追記としてです。

以下、個人的に興味を持った部分を紹介します。 公表された資料には、他にも色々なことが書かれているので、詳細は是非原文をご覧下さい。

第1版から大幅update

第2版を読んだ感想として、第1版とはかなり大きく異なると思いました。 第1版は、主にAAAAフィルタを効果的に実施する方法が主眼であったのに対して、第2版の主眼は長期的視点を含めた解決手法等にも言及されています。

図も非常に見やすくなり、論点も整理されています。 第1版が議論中の生の情報がそのまま公開されていたような体裁であったのに対して、第2版は報告書やガイドラインのようなキッチリした体裁に思えました。

第1版は公開資料として大変興味深かったのですが、第2版は文書として大変興味深いというのが正直な感想です。

AAAAフィルタは暫定的という原則が明記

「フォールバック問題対応について共有されるべき原則」で以下のように書いてあるのも大きな特長だと感じました。

IPv6サービス提供が、根本的に問題を解決できる策であるため、ISP各社、コンテンツサービス提供事業者(CSP)およびNTT東西はこの実現に向けて会社を越えて協力しながら取り組んでいく必要がある。

AAAAフィルタに関する説明が詳細に書かれているものの、それらがIPv6対応という根本的解決策が実施されるまでの暫定的な問題回避策であると説明されています。

IPv6そのもののアップデートにも言及

資料では現在普及している端末に新仕様が搭載される可能性がほとんどないことからNTT IPv6閉域網におけるフォールバック問題の解決策ではないとされていますが、NTT NGN IPv6マルチプレフィックス問題という意味ではなく、IPv6そのものが抱えているIPv6マルチプレフィックス問題に関して言及していると思われる部分もあります。

JAIPA資料では多少ぼかした表現であるため直接的に明記されているという感じではありませんが、IPv6マルチプレフィックス環境を本当の意味で実現するには、RFC3484的なsource address selectionだけではなく、source address selectionとnext hop selectionとDNS selectionが必要だという話だと私は解釈しました。 ここら辺の話は、現在IETFで議論が行われている最中です。

まだ話題にのぼることは少ない印象があるのですが、NTT NGN IPv6マルチプレフィックス問題ではない、IPv6そのものとしてのIPv6マルチプレフィックス問題は、実はかなり面白いテーマだと最近考えています。

ユーザ環境でのソフトウェアアップデート

各ユーザが最新版のソフトウェアを利用することで、フォールバック問題を解消出来る場合があることも紹介されています。

Internet Explorer Version8や9ではフォールバック問題によって閲覧できなくなる問題が比較的発生しにくいことや、Firefox10以降とChrome Version 11.0.696.71以降ではフォールバック問題が軽減されるとあります。

Happy EyeballsがRFCになったことによって、それを採用するソフトウェアが増加し、ユーザが利用するソフトウェアがフォールバック問題の影響を受けにくくなる可能性があることも紹介されています。

コンテンツプロバイダへのメッセージ

NEC BIGLOBE川村さんによる発表資料には、コンテンツプロバイダへのメッセージも含まれています。 以下、発表資料の31ページに書かれている内容です。

【参考】コンテンツプロバイダの みなさまへ

- フォールバックが発生する可能性が高いユーザに対して、ゾーンレコードを保持するDNSで、Viewを分けることでAAAAを応答しない事ができます

- AAAAを回答するとフォールバックが発生する可能性の高いリゾルバ(DNSキャッシュサーバなど)のIPアドレスリストがあれば、コンテンツサイドでのAAAAフィルタを実現できます

-リスト(JAIPA外が提供)を紹介する事もできますので、ご興味があれば お問い合わせください

そのうち関連記事公開したいです

World IPv6 LaunchとNTT IPv6閉域網に関しては、NTT NGN IPv6マルチプレフィックス問題や、IPv6マルチプレフィックス問題そのものに関してなど、現在いくつかの記事を執筆中です。

近いうちに公開したいと思いつつ、追加調査項目が増えて行ってズルズルと時間が経過してしまっています。。。orz

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