米国当局の要請でverisignが.comドメイン名を差し止め

2012/3/2-1

米国国外にあるレジストラ経由で登録された.comドメイン名が、米国当局からの要請を受けた米国企業であるverisign社によって差し止められたことが報じられています。 カナダ在住と思われるカナダ人が運営しているオンラインギャンブルサイトBodog.comが米国当局によって差し止められました。

今回、差し止めを行ったverisign社は、.com、.net、.govなどのgTLD(generic Top Level Domain)や、.tv(ツバル国、Tuvalu)、.cc(ココス諸島、Cocos Islands)などのccTLD(country code Top Level Domain)のレジストリ事業を行っています。 13系統あるDNSルートサーバのうちの2系統、AとJの運用もVerisign社が行っています。

昨年verisign社は、米国当局からの要請に応じて.comなどの差し止めを行うというプロポーザルを公開しましたが、激しい批判にさらされたためプロポーザルは撤回されました。 今回の事例は、そのプロポーザルにあったようなことが実際に行われたようなものだと思われます。

今回の事例の意味を知るには、レジストリとレジストラの違いを知る必要があります。 TLDそのものに登録される各種セカンドレベルドメインの委譲先情報等を一括管理しているのがレジストリです。 たとえば、.jpのレジストリはJPRS社です。 今回の事例で言えば、verisign社は.comのレジストリです。

今のインターネットでは、ユーザがTLD直下のセカンドレベルドメイン名登録を行うとき、レジストラ経由で申し込みを行います。 レジストラはユーザからの申請に基づいてレジストリのデータベースに情報を登録します。 レジストリが各TLDで一つなのに対して、レジストラは複数存在します。

今回の事例では、Bodog.comの運営者が契約を行っていたのはカナダのバンクーバーにあるdomainclipであったとeasydns.orgの記事に書かれています。 恐らくBodog.comのサーバも米国国内にあったことを考えると、ギャンブルを行っていたユーザが米国国内にいたことと.comのレジストリが米国企業だった点が、今回の「米国との被疑者の関係」だったのかも知れません。

Megauploadの事例では、容疑者逮捕がニュージーランドでしたがサーバが米国国内にありました(参考)。

この事例は、米国企業がレジストリやジレストラとして関わっているドメイン名に関しては、事実上米国当局が差し止め可能であるというのが示すものだと思われます。 今回は.comでしたが、.tvや.ccなどのccTLDにおいても同様な差し止めが物理的には可能だと推測されます。

おまけ:SSL証明書の「ベリサイン」は無関係

「ベリサイン」と言うと多くの方々がSSL証明書を思い浮かべると思いますが、2010年にシマンテック社がVeriSign社の証明書や認証などの事業を買収しました。

DNSルートサーバやTLD運営を行う会社としてVerisign, Inc.は残りましたが、Sが大文字となるセキュリティ事業としてのVeriSignブランドは現在はシマンテック社のものです。 そのため、今回の話題とSSL証明書のベリサインは無関係です。

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