そもそもノマドは定員が少ない

2012/2/17-1

何か、ノマドワーキングという単語が盛り上がっているようです。 ここ数年、他人からは「何をしているのか謎」と言われることが多いフリーランス的ブロガー業をしている身としての感想をいくつか。

まず、いま某界隈で盛り上げっている「ノマド」批判です。

個人的にはノマド的な働き方が可能な定員は限られていると考えています。 ニッチなフィールドで少ない人数が食べて行くというのがノマドワーキングじゃないかという感想です。 言い換えると、ノマド的な働き方をする人々の影には、直接的にであれ間接的にであれそれを支える大量の人々がいるわけで、支える人々の数が少ないと成り立たちません。

ただ、今回の議論がノマドワーキングに関して語っているのか、それともフリーランスのことをノマドワーカーと言っているだけなのか良くわからない面があるので、私の話もそこら辺がごちゃごちゃになってます。 あらかじめご了承下さい。

Wikipediaに学ぶ「遊牧民」

ノマドワーキングのノマドは遊牧民という意味なので、Wikipediaの「遊牧民」の「特徴」という項目を参照してみます。

いわゆるノマドワーキングに対するイメージと現実という視点で見ても、「遊牧民」というアナロジーは優れている気がしています。

動く範囲が決まってる

Wikipediaには、以下のようにあります。

遊牧民は、一箇所に定住することなく、居住する場所を一年間を通じて何度か移動しながら主に牧畜を行って生活する。

多くの場合、1家族ないし数家族からなる小規模な拡大家族単位で家畜の群れを率い、家畜が牧草地の草を食べ尽くさないように、その回復を待ちながら、定期的に別の場所へと移動を行う。

遊牧民は定住型の人々からは一般にあてどもなく移動しているかのようなイメージを抱かれやすいが、実際には拡大家族ごとに固有の夏営地・冬営地などの定期的に訪れる占有的牧地をもっていることが普通で、例年気候の変動や家畜の状況にあわせながら夏営地と冬営地をある程度定まったルートで巡回している。

「ノマドワーキング」というと、自由にどこでもというイメージですが、実際には決まった場所や業界内で生計を立てていることが多いイメージがあります。

明確に決まっているというわけではないにしても、何となく「このフィールドは○○」というような縄張り的な要素があるのも、それっぽいです。

厳しい環境(ニッチなフィールド)

ニッチなフィールドで生計をたて、困った時には何人かで協力するという側面もノマドワーキングにはある気がしています。

遊牧民の生活している地域は乾燥帯・ツンドラなどおおよそ農耕には向かない厳しい気候であるため、もっとも厳しい冬を越すための冬営地では数十から数百の家族単位で集団生活を営む例が多い。

交易活動

ノマドワーキングも、恐らく対外交渉や社内交渉が欠かせません。 自分で書類整理、請求書などの発行と確認、業務範囲の事前確認や進捗チェックも会社に居た方が作業が楽なことも多そうです。 さらに、各人に「高い商品性」があるからこそ成り立つ話な気がしています。

以下、Wikipediaの「遊牧民」ページの続きです。

遊牧民のもうひとつの特徴は、生活に交易活動が欠かせないことである。そもそも遊牧生活では、ミルク・毛皮・肉などを入手することは容易だが、穀類や、定住を要する高度な工芸品を安定的に獲得することが困難である。そのため、多くの場合、遊牧民の牧地の近辺には定住民、特に農耕民の居住が不可欠である。そのため、遊牧民は移動性を生かして岩塩や毛皮、遠方の定住地から遊牧民の間を伝わって送られてきた遠隔地交易品などを隊商を組んで運び、定住民と交易を行ってこれらの生活必需品を獲得してきた。一見素朴な自給自足生活を送っているような印象を受ける遊牧民の牧畜も、ヤギやヒツジ、ウマといった商品性の高い家畜の売買によって成り立ってきた部分は大きい。

まあ、こんな感じで、農耕活動によって人口密度を上昇させることが可能になったことや、狩猟や遊牧で生計をたてられる人数がまわりの資源の量に限られること、資源消費スピードと資源回復スピードのバランスが大事なことを考えると、やっぱり「定員」に制限があると思うわけです。

コモンズ(共有地)の悲劇

いわゆる「ノマドワーキング」が増え過ぎるとどうなるかというと、きっと「コモンズの悲劇」みたいなことがおきるのかも知れません。

まあ、「ノマド」という表現を「遊牧」というアナロジーでそのまま考えた場合であって、「ノマドワーカー」が大量に増え過ぎて浪費されてしまう共有資源が何であるか、もしくは浪費される共有資源が存在するのかどうかは状況次第でしょうけど。

ということで、ノマドワーキングの話をしているのか、フリーランスの話をしているのか自分でもよくわからなくなってきてしまいましたが、こんな感想文を書籍原稿執筆の現実逃避に書いてみた今日この頃です。

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