最近のテレビ番組はくだらない?

2008/3/16

昨日、ひょんなことから久しぶりに真面目にテレビを見ました。 NHKの番組で「本当に強かったのか?ティラノサウルス」というものでした。 肉食恐竜の王者と思われているティラノサウルスが、実はスカベンジャーではないかという説を紹介したものでした。 ちょくちょく出てくる話題だと思うので、ネタとしてはさほど新鮮なものではありませんでしたが、結構面白いと感じました。 (wikipediaの「ティラノサウルス」にも同じような内容が詳しく書いてあります。)

私はこのような系統の番組は大好きです。 最近は全然テレビを見なくなってしまいましたが、昔は深夜番組として放送されていたCBS 60 minutesを見るのが楽しみでした。 ケーブルテレビ系ではDiscovery ChannelやAnimal Planetなどが大好きでした。 ただ、このような系統の番組は地上波放送では少なく、「もっと放送してくれればいいのに」と思っていた頃もありました。

民放では「芸能人が馬鹿騒ぎしている番組ばかりだ」という意見を見ることがあります。 時間帯によっては、確かにそのような傾向があると思います。 ですが、それは「番組がくだらなくなった」のではなく、その時間帯に多くの人が見る内容へとoptimization(最適化)された結果でしかないとないと最近は考えています。 恐らく、色々と試行錯誤を繰り返す過程で、視聴率が稼げるジャンルの番組が生き残っていたのだろうと予想しています。

硬い番組は視聴率が取れないわりに、時間と労力がかかるのではないかと思われます。 例えば、「成果主義」という概念があり、「成果」が視聴率と経費のバランスであったりすると、時間をかけて硬い番組をじっくり作り続ける人はお荷物になってしまいます。 まあ、そういう評価方法をしているのかどうかは不明ですが、「売り上げ」という「成果」で考えても、硬い番組を作る人よりも派手な番組を作る人の方が組織内では優秀とされそうな気もします。

コンテンツ産業でなくても、ニッチなものを作っている部署にいる人よりも、メジャーなものを作っている部署にいる人の方がボーナスの額が高いとかありますし。

ブログにおいても同様の傾向があるかも

このような傾向は、テレビ番組だけに限りません。 ブログの世界においても、同様の状況が発生しているように見えます。 読者が増える「ネタ」をより多く扱い、それによって読者を増やしていくという戦略はブログの世界でも一般的だと思われます。

例えば、読者によってはネットプロレスと呼ばれるクネクネを嫌いますが、その嫌いであると表現している論理は「テレビがくだらない」と言っている論理に似ていると感じることもあります。

ブログでも深過ぎると読者が減る

そして、読者を増やせる「ネタ」というのは、あまり深過ぎない方が良いのではないかと最近は感じています。 個人的には、時間をかけてじっくり調べて書き上げたニッチな記事は全然「売れない」と感じています。 自分では「面白い」と感じていても、内容がニッチになってしまうと読者数としては少ない記事になります。

例えが悪いような気がしますが、例えば、このブログでSally FloydのRED(Random Early Detection)の論文解説をしても、それがソーシャルブックマーク上で人気記事になることは無いと予想されます。 実用性は全くなさそうだけど、仕組みや論文としては恐ろしく美しいREDの論文は大好きです。 あとは、REDがコアルータで実用性が無いことを論じている論文とかも面白いと思います。 CBQ(Class Based Queueing)やWFQ(Weighted Fair Queueing)あたりの論文解説も面白そうです。

ニッチな記事を真面目に書こうとすると恐ろしく時間がかかります。 時間と労力がかかるわりに、読者には喜ばれにくい傾向があります。 そんな感じになるので、どうしても深く調べて書く記事は少なくなります。 真面目に調べたなぁと自分で感じる記事は数ヶ月に1度ぐらいしか書けていないのが現状だと思います。 というより、そもそも各記事を書くのに時間が凄くかかるので、そんなに量産は出来ません。

私が、思いつきで文章を書いたりして軟派な記事を連発している所以はそこら辺にあるのかも知れません。 軟派記事を連発しているという意味では、私も同罪だろうと思います。ごめんなさい。 (同罪という表現を使う事自体がおこがましいというご意見もあるとは思いますが。。。)

というより、単に説明が下手で「意味不明」とスルーされているだけかも知れません。 適切な深さで適切な解説が出来ているものは、やはり人気記事になるのだろうと思います。 (いや、でも人気記事になるかならないかを意識している時点でイヤラシイかも知れません。スケベ心が抑えきれない今日この頃です。)

類は友を呼ぶ

現状のテレビ番組がoptimizationの結果だと思うと、はてなブックマークなどのソーシャルブックマーク系もIT系のユーザが好むネタに対してoptimizationが行われているのかも知れません。

例えば、はてブで技術系のネタが人気記事になりやすくなると、それらが理解不能な方々は「はてブわけわかめ」と言って去っていきます。 そして、そのようなネタが大好きな人ばかりが残り、よりIT系ネタが「売れる」ようになります。

テレビが単なるジャンルになる日

こう考えると、テレビが向かう先は、現在のテレビ番組群が「面白い」と感じている人が見る非常に大きなメディアの一つなのかも知れません。

現状のoptimizationがどんどん進んでいくと、それだけ今のテレビ番組に不満を持つ人々がネットへと向かいます。 今の番組構成に不満を持つ人が減ると、視聴者の多様性は失われていき、今の番組構成に喜びを感じる視聴者の割合が上昇します。 そして、テレビはより「面白い」方向へと突き進みます。

一方、ネットに来た人々はネットで各自が満足するオンラインメディアを探求します。 一度自分の好きな場所を発見すると、そのメディアに傾倒するようになります。 そして、テレビに不満を持った人々はテレビを見なくなります。

その結果、小難しい事が大好きな人が見るメディアとしてのネットと、娯楽が大好きな人が見るテレビという区分けが今よりもより鮮明になっていくのかも知れません。

まあ、根拠の無い妄想なので、本当にこうなるかどうかの自信はゼロですが。。。

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