インターネットと工作員と煽動と謀略

2009/1/13-1

最近、新聞の販売モデルが崩れ始めているというような趣旨の話を各所で見かけるようになりました。 数年前はブログやオンラインメディアやIT系書籍での指摘ばかりであった気がしますが、最近ではより一般的な雑誌などでも話題になるようになった感じがしています。

これらの議論の過程で「もう新聞社なんていらない」というような発言をする人がブログや掲示板などのネット上で散見されますが、個人的には「ニュースなどの一次情報を作る人は重要だ」という考えとともに「やっぱり新聞社などのマスコミをベースとして情報を使ってブログを書いている人が多い」という考えを持っています。

しかし、その考えを自分の中で掘り下げて行ったところ、「日本国内新聞社が一次情報を提供する能力が低くなる状況ってどういう時だろう?」というのと「今とは違う一次情報流通の世界」というのに関しての妄想が始まりました。

国内新聞社に対抗し得る一次情報提供者

国内新聞社による一次情報提供能力低下を招くかも知れない要因を考えてみました。 まず、あり得そうなのが広告費の削減による取材用経費の低下かもしれません。 取材用経費が低下することによって記事の質が低下するという話です。

さらにそれに追い打ちをかける物があるとすれば、海外の新聞社による侵略かも知れないと思いました。 紙媒体であれば配送する網が必要であり、その網が無ければ海外メディアは日本メディアに太刀打ちできません。 しかし、インターネット上では配送コストは限りなく低くなります。

現状の大きな障壁は「言語」です。 しかし、例えばアメリカの各新聞社が日本語での情報提供を始めたらどうなるのでしょうか? まず、「言語」による障壁はなくなります。

この「侵略」には2種類の方法があります。 まずは、海外の新聞社が各自で多国語対応するという方法です。 昔は外国語に対応したとしても広告収入が増えるところが見込めませんでした。 しかし、例えばGoogle Adwordsのように国を跨いで広告主を募れる仕組みがあれば多国語対応する意味は出てきます。

Wall Street Journal Onlineは中国語、ポルトガル語、スペイン語に対応していますが、そこに日本語が加わればそこを見る日本人は増えると思われます。

次に、例えばベンチャー企業などが日本語化する権利を外国の新聞社から購入するという方法もあります。 この場合、情報を配信しているのは日本の企業になりますが、実際の元データは海外の新聞社になります。 IT系のオンライン紙で見る事がある手法です。

今のところ読者数で言えば国内新聞社に対抗するような海外媒体はあまりなさそうな気がしますが、その状況が徐々に変化するとすれば、このようなところもあるのかも知れないと思いました。 国内メディアの多くは紙媒体の売り上げ減を恐れた行動をとっていると言われている一方で、アメリカではオンライン化が加速しているという話を良く見ます。 このような状況も「黒船」になり得そうな気がしています。

よく「英語で情報発信をしよう!」という話を見ますが、日本人が英語で配信できるのであれば、例えばアメリカ人が日本語で配信することも可能です。 もちろん、英語と日本語では読者数の違いがあるという話もあるとは思いますが、日本語読者も絶望的に少ないわけではないような気もしています。

で、それを意図的にやる人が出たら?

次に、海外の新聞社による「侵略」を戦略として行う所が出現したらどうなるでしょうか?

「情報」というのは無限にあります。 例えば、国内の交通事故だけでも放送や配信しきれない数があります。 そのため、何を伝えるかを誰かが必ず選択する必要があります。

そして、「どの情報を伝えるか?」や、「どの視点で書くか?」でかなり読者の反応が違ってしまいます。 ある特定の層を煽動するために、ある時から特定の情報のみを掲載するようになると、どうなるのかと不思議に思いました。

例えば、国内読者の8割が特定の海外新聞社を読むような状況が出来上がったとき、そしてその海外新聞社は自国から補助金をもらっていたりするとき、今とは違う世の中が待っていそうです。

インターネット工作員

例えば、ブログや掲示板などで人々を煽動することを目的とした部署を持つ国があったとして、その国がAという国とBという国を仲違いさせるためにインターネット上でひたすら双方の悪口を書き続けたとします。

言論の自由の範囲を逸脱しないように注意深く、なおかつ煽動的な内容であったり、将来の煽動に生かすための種として憎悪を植え付けるような文章を時間をかけて書いている組織があっても不思議ではないと最近は思います。

その書き込みが上手であればあるほど、信じる人が発生するような気がします。 インターネットを使って人を煽動する事に対して天才的な人がたまにいます。 そのような人は、一人で多くの人の行動を手玉に取っているように見えます。

人々が偽の情報を信じる時、ある程度のパターンがありそうです。 読者の経験則に沿っていれば情報のソースなんて気にしなくなる瞬間があります。

例えば、「あいつならそれを言いそうだ」とか「いかにもありそうな話だ」というようなネタに対して煽動が効きそうな気がしています。

企業に対しても同様の事が可能になります。 例えば、電話をかけてもいないのに「○○のサポートセンターに電話したら。。。」というような文章を作り上げ、読者が特定の企業に対して敵意をむき出すような文章を書いたりできます。 または、特定の会社の社員を装ってWinnyで情報漏洩したように見せかけたり、非社会的な行動をとっているようなブログを書くという方法もあり得ます。

インターネットに価値が出てしまった

インターネットが今後色々な使われ方をしていくのは、そこに大きな価値が発生してしまったからだと思われます。 単なる一部の人が使うだけの通信手段であれば、あまり注目されることもなかったのかも知れません。

しかし、インターネットはいまや単なる通信手段ではなく、世界共通のインフラになっています。 世界中の人が影響されるような共通プラットフォームです。

そして、通信手段としてだけのインターネットではなく、情報入手源としてインターネットは今後どんどんクリティカルな存在に変化していくものと思われます。 今までのような単に相手を落としたり乗っ取ったりするだけの「サイバー攻撃」ではなく、もっと多様で複雑で巧妙な「サイバー攻撃」というものも発生しそうです。 (どんなものなのかはわかりませんが。。。)

言語の壁を越えることもある

インターネットでは、言語の壁を越えて情報が伝わる事もあります。 例えば、昨年末に全日本剣道連盟がYouTubeにアップロードした1953年の剣道映像に対する参照元で最も多いのが韓国からでした。

YouTube : 第1回全日本剣道選手権大会決勝

後に、「剣道の起源は韓国にあるというのが通説だが、なぜこのような映像が存在してるんだ!と議論になっていたらしい」という噂を聞きましたが、私は韓国語を読めないので真偽はわかりません。

これは、日本から発信したものが何らかの形で海外にて議論を起こしたらしいという話ですが、意図せずに海外で情報が流通していくという強さを持っているのがインターネットだと再認識させられました。 逆に言うと、少人数の組織が意図して海外に特定の情報を流し続けて煽動が可能だという危うさもありそうです。

誰でも思いつきそうな手法

インターネットを使った外国に対する謀略というのは「誰でも簡単に思いつくこと」だろうと思います。 しかも、計画的にやれば滅多に発見されないのだろうと思います。

最近は、どれだけの情報が「意図して一般人を装っている」のかと不思議に思う事があります。 外国からの謀略という意味ではなく、企業の宣伝活動を含めると相当数があるのではないかと予想しています。 たまに下手な人が発見されたりしていますが、上手な人はきっと発見されずにうまくやっているんだろうと思います。 (まあ、インターネットだけではなくテレビや雑誌や新聞を含めると、実は今までと何も変わってないのかも知れませんが。。。)

疑り深いのは良くないとも思うのですが、例えば「銃・病原菌・鉄」のような本を読んだり、軍需用品として納入された半導体にトラップを仕掛ける方法(参考:キルスイッチを探せ)などを見ると、「いかにも進行中だろうなぁ」と思うようになってしまいました。

最後に

色々考えていたら、何故か謀略の話になっていました。 インターネットを使った他国に対する情報攻撃は、実行する人が負うリスクが小さい割に、時間をかければ効果的であるという恐ろしさがあるような気がしています。

かといって、情報を規制するのが良いとは思えません。 変な規制を行うと、言論統制へと走ってしまいます。 そして、そのように「止めようが無い」というような状況も色々と難しさを助長しているのかも知れないと思った今日この頃です。

以上、何かとりとめもない文章になってしまいましたが、今日の妄想でした。 ここら辺の話って実は本とか論文とか色々ありそうですね。。。

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