RFC系統図で見るIPv6の変化

   このエントリをはてなブックマークに登録    2017/1/12-1

これまで何度か、IPv6が今も変化し続けている発展途上なプロトコルであるという話を書いてきましたが、その変化をどのように追えるのかに関しては、紹介していませんでした。

今回は、IPv6がどのように変化しているのかに関するイメージを持っていただくために、IPv6に関連するRFCの廃止や更新を紹介します。

IPv6に関する最初の仕様が決まったのが1995年ですが、そのときに発行されたIPv6関連の主要なRFCが、RFC 1883 から RFC 1886の4つです(1809と1881もありますが、それらは今回は割愛)。 それらのRFCは、IPv6に関する根本的な仕組みを示したものでした。

IPv6の根本的な仕様を示すRFCとして、1996年に発行されたRFC 1970もあります。IPv6のNeighbor DiscoveryのRFCです。

1995年に発行されたIPv6に関する4つのRFCと、1996年に発行されたNeighbor DiscoveryのRFCは、今は他のRFCによって廃止されています。 その派生を追うと、IPv6仕様がどのように変化しているのかを追えます。

今回は、それら5つのRFCを含め、IPv6で変化が発生しているRFCの系統図を作ってみました。 IPv6仕様を追うときの参考になれば幸いです。

IPv6本体

まず最初にIPv6本体に直接関連するRFCの系統図です。

IPv6本体の仕様は、1995年にRFC 1883が発行され、1998年に RFC 2460が発行されることでリニューアルされています。

RFC 2460が発行された後もIPv6本体に関連する議論は続きます。この記事を執筆している時点で、IPv6本体のRFCを更新する形で発行されているRFCは9個です。最も多いのがIPv6拡張ヘッダに関連するものです。

IPv6フラグメントに関連する更新も2個あります。

残りの2個は、IPv6フローラベルとIPトンネル利用時のUDPチェックサムのRFCです。

この記事を執筆している時点では、IPv6本体の仕様を示すRFCは RFC 2460です。 しかし、IPv6仕様などを議論するIETFの6man WGでは、RFC 2460 を見直す議論が進行中です。

RFC 2460を見直すためのInternet Draftは、現在IESGによる「AD Evaluation」という状態にあり、近いうちにRFCとして発行されると思われます。このことからも、いまもなおIPv6仕様が変化し続けていることがわかります。

IPv6 Jumbogram

RFC 2147は、IPv6基本仕様を示したRFC 1883をupdateするRFCとして発行されましたが、その発行から2年後にRFC 2675によって廃止されます。

RFC 1883がRFC 2460によって廃止されるときに、RFC 1883に含まれていたIPv6 Jumbogramに関する記述が削除され、別のドキュメントしてRFC 2675にまとめられたのです。

IPv6のAddressing Architecture

128ビットのIPv6アドレスをどのように利用するのかに関して示したIP Version 6 Addressing Architectureも議論が続いています。

関連するRFC一覧です。

現時点でIPv6 Addressing Architectureの標準となっている RFC 4291 も、近い将来廃止される予定です。 RFC 4291を廃止するためのInternet Draftが、この記事を執筆している時点でIESGによるAD Evaluation状態になっています。

ICMPv6

ICMPv6は、IPv6を構成する非常に重要な仕組みです。

IPv4のICMPはどちらかというと障害検知などで利用されることが多のですが、IPv6でのICMPv6はIPv6アドレス自動設定など、IPv6を運用するうえで直接利用するプロトコルという性格が強くなっています。

SLAAC

IPv6アドレス自動生成で利用されるSLAACも議論を経て変わってきました。

Neighbor Discovery

IPv4におけるARPの仕組みも提供しているIPv6 Neighbor Discoveryも変更が多いプロトコルです。

IPv6サポートのためのDNS拡張

www.example.comのような「名前」は、現在のインターネットで非常に重要な仕組みです。

インターネットで使われる「名前」に対してIPv6を関連付けるには、DNS仕様の拡張が必要でした。 1995年に発行されたRFC 1886は、IPv6対応を行うためのDNS仕様の拡張を規定しています。

RFC 1886は、2003年にRFC 3596によって廃止されています。

IPv6 Node Requirements

IPv6ノードが満たすべき仕様を示したRFC 4294は、RFC 6434によって置き換えられています。

IPv6フローラベル

IPv6フローラベルは、IPv6の基本仕様に含まれていますが、それをどのように使うのかに関して、長く議論が続きました。

他にも色々あります

今回は、IPv6そのものに直接関係するRFCを中心に変化を紹介しました。

IPv6に関連するRFCは他にも多数ありますが、いままさに議論中のものもあります。 たとえば、IPv6でのルーティング、IPv6アドレス選択、IPv4/IPv6共存技術などに関連するRFCを今回紹介していません。

IPv6に関連する資料が非常に多いことも、IPv6がややこしいと思える要因かも知れません。

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