超凄いIPv6解説書(488ページ)を無料配布します!

2021/12/20-1

「プロフェッショナルIPv6 第2版」を無料配布します。2018年7月にプロフェッショナルIPv6初版を発売&無償配布開始しました(すごいIPv6本を無料配布)。初版発売開始から3年、さらにパワーアップした「プロフェッショナルIPv6 第2版」がついに完成しました! 本書を企画して、少しずつ文章を書き溜めはじめた2011年から10年近くかけて完成した488ページにおよぶ「プロフェッショナルIPv6 第2版」をお楽しみください。

プロフェッショナルIPv6第2版の構成

プロフェッショナルIPv6第2版は5部構成になっています。

第1部は「インターネットとIPv6の概要」というタイトルで、IPv6の視点からインターネット自体の仕組みを復習し、そのうえで、詳細の説明に入る前に把握しておくべきIPv6の概要として、次のような事項を解説しています。

  • 従来のIPv4アドレスとは大きく異なるIPv6アドレスの表記や種類
  • インターネットプロトコルとしてのIPv6の機能
  • IPv4との相違点のまとめ
  • IPv6に対応するとはどういうことか
  • IPv4とIPv6が混在するインターネットの姿

第2部では、IPv6プロトコルに関して詳しく解説するとともに、その周辺技術をまとめています。 本書執筆で最も時間をかけた部分であり、本書の心臓部にあたります。 IPv6アドレスの自動設定やマルチプレフィックスに関連する章は特に執筆に注力した部分です。

第3部は、IPv6とIPv4のデュアルスタックに関する解説です。 IPv4とIPv6の名前解決を両方とも同時に扱い、ユーザがIPv4とIPv6の違いを認識せずに使えるようにするため、DNSがどのような役割を果たしているかを見ていきます。 IPv6インターネットとIPv4インターネットという、直接の互換性がない異なる2つのインターネットが1つになっている構造を解説しています。

第3部は、IPv4アドレス在庫枯渇問題に関連する内容です。 IPv6を理解するうえでIPv4の知識が必須ということはありません。 しかし、IPv4アドレス在庫枯渇問題は、インターネットそのものを理解するうえで避けては通れない話題であると筆者は考えています。 この第3部では、IPv4アドレス在庫枯渇問題そのものだけではなく、IPv4 NATについても解説しています。 IPv4 NATによるIPv4アドレス共有技術は、後に解説するIPv4とIPv6の共存技術でも多く利用されます。

第4部は、IPv4とIPv6の共存技術です。 IPv6とIPv4には直接の互換性がないので、さまざまなIPv4/IPv6共存技術が周辺技術として提案されています。 過去に提案された手法が改良されて新しい手法として提案されることもあります。 この章では、過去の歴史的経緯も含めてさまざまなIPv4/IPv6共存技術を紹介しています。

本書の最後は日本国内に限定した内容を付録として解説しています。 付録Aでは、NTT NGNにおけるIPv6について解説しています。 NTT NGNにおけるIPv6は、特に日本国内でIPv6について語るときには大きな要素です。 付録Bでは、日本国内で流通しているCPE(Customer Premises Equipment)で利用されることが多いIPv6パススルーとND Proxyを紹介しています。

本書は上記のような構成になっていますが、その執筆は、正直なところ、途中で断念したくなるぐらい大変なものでした。 IPv6の解説書があまり世に出ていないのは、本気で書こうと思うと限りなく書くべきことが見つかるからかもしれません。 筆者がIPv6に関する記事を書き始めたのは2011年のことですが、それなりに時間をかけて書き続けてきたにもかかわらず、書籍として初版を公開できる形にできたのはようやく2018年のことです。

2018年に、ひとまず一通り形にまとめて初版の出版となりましたが、その後も更新することが当時の目標のひとつでした。 そして、2021年12月に第2版として各所を更新したものを出版できました。

第2版の凄いところ

初版は「すごいIPv6本」という表現でクラウドファンディングを行いました。 第2版は初版よりも色々とレベルアップしているので、今回は「超凄いIPv6本」と表現してみました。

本書が完成した今は、第2版が本当のスタートなのではないかと考えています。 第2版は、大幅に読みやすくなっています。 いま思えば、初版は辞書のような作りでした。 できるだけ多くの情報を詰め込もうとしたものの、全体を見通すようなコンテンツが不足していたのです。

第2版では、書籍の冒頭部分となる第1部を「インターネットとIPv6の概要」としました。 IPv6を理解するうえで必要となるTCP/IP関連の前提知識と、IPv6の概要をまとめて解説しています。

初版では、第1部が「本書を読むにあたっての前提知識」となっていて、前提知識となるような話などを語っていました。 さらに、初版では第2部が「IPv6プロトコルとその周辺技術」として、個別の細かい話を次々と解説するという構成でした。 IPv6の情報に初めて触れる方々にとって、まったくもって優しさのカケラも存在しない構成であると反省しています。

第2版では、初版に欠けていた「IPv6の全体像を俯瞰するような内容」を第1部に含むことで、読みやすさを大幅に改善していると考えています。

第1部の改善以外にも、説明が足りていないと思われる部分を色々補強してあります。 初版発行以降、YouTubeチャンネルでIPv6関連情報の発信を開始しました。 動画を作るときに、プロフェッショナルIPv6初版を参考にしていたのですが、その過程で自分の書いた文章が説明不足である部分を多数発見してしまったのです。 YouTube用の動画を作りつつ、関連する説明文を改善する作業をコツコツと続けてきました。

2018年以降、IPv6に関連する仕事をすることも増えました。 そこで頂いた質問や、見えた課題、各所で遭遇したIPv6に関連する誤解なども参考にしつつ、それらに対応するようなコンテンツも第2版に加えてあります。 さらに、ND ProxyやIPv6パススルーなど、多くのユーザがの方々が疑問に思っている内容も第2版で新たに追加しました。

第2版は、初版と比べて図が増えています。 図が増えることにより、説明がわかりやすくなっています。 また、今回から多くの図がカラーです。

2018年に初版を発行して以降、IPv6に関連するRFCが改定されるなど、IPv6関連仕様が変化しています。 第2版では、RFCの更新にも追随しています。

これらの変更を含む第2版での主な更新内容は、目次の直後に書かれています。 何が変わったのかを知りたい方は、ぜひそちらをご覧ください。

無償配布

第2版も初版に続き、紙の書籍を販売する一方で、紙の書籍と同じコンテンツを電子版として無償配布します。 これは、本書企画段階で筆者の知る限りではIPv6に関するまとまった確かな情報がなく、それならばIPv6に関する情報を広くたくさんの人々が知る機会を本書で作りたいと考えたためです。

IPv6は、IPv4と異なる部分も多いので、ちょっとした勘違いが運用上の問題を発生させることもあります。 IPv6に関する情報へのアクセスを容易にすることによって、そういった問題の発生を少しでも防げればという想いもあります。

無償配布版の「プロフェッショナルIPv6」は、クリエイティブコモンズライセンスのBY-NC-SA(表示 - 非営利 - 継承)のライセンスのもとに公開します。 たとえば、この本に含まれる文章や図を、学校の授業や企業での研修などを目的として複製する場合には、特に申請していただかなくても大丈夫です。 そういった用途のために、発表資料や配布資料の中で文章や図を使ったり、PDF本体を複製して組織内で配布していただくことに関しても、特別な許可は必要ありません。

情報を届けることにご協力ください

本書に含まれる情報が、必要な人に届くことにご協力ください。 昔は、本書の価値をわかってくれる人に届けば良いと考えていましたし、自分の作品に関して過剰に宣伝することは見苦しいという意識もあり、告知も多くは行わず、情報を届けるための発信も過剰にならないように気をつけていました。

しかし、最近は、自分の作品を宣伝することは「情報を届けるための努力」であって、恥ずべきことではないと考えるようにしています。

ということで皆様にお願いです。

  • プロフェッショナルIPv6に関して、Twitter、Facebook、Instagram、その他SNS等で触れて頂けると嬉しいです
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「プロフェッショナルIPv6」を無償配布することや、今後も更新を続ける活動にご賛同いただける方は、ぜひご協力をお願いいたします!

プロフェッショナルIPv6 第2版の入手方法

Twitterにて、「ラムダノート社の商品はファングッズである」といった表現が行われていることを目にしたことがあります。 プロフェッショナルIPv6は、買わなくても全部読めてしまう本です。 読むだけなら買う必要がありません。

しかし、著者と出版社にも生きていくためにお金が必要です。 ラムダノート社の活動を応援するために、無償配布している内容と同じ書籍を購入しても良いという方々は、同社からご購入いただけると非常に嬉しいです。 「プロフェッショナルIPv6 第2版」は以下のURLから購入可能です。

https://www.lambdanote.com/products/ipv6-2

本書は、pixivを使って無償版を配布しています。 また、著者応援版ということで購入者が任意の価格で購入可能の「BOOST↑」機能での販売を行っています。

https://professionalipv6.booth.pm/

窓の杜からもダウンロード可能です。こちらはアカウント作成等が不要です。

https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/proipv6/

よろしくお願いいたします!

拙著が多くの方々に楽しんで頂けたり、お仕事等のお役に立てれば幸いです。

第2版を無事発行できましたが、今後もIPv6の変化に追随したり、現在はカバーできていない内容を追加したり、今よりもさらに読みやすく改善するような作業を継続したいと考えています。 よろしくお願いいたします!

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