11月6日の「インターネットが壊れた」、Level3のleakで約90分間
米国時間の2017年11月6日(月)に、約90分間の大規模インターネット障害が発生しました。 Dyn blogによると、世界最大規模のTier 1インターネットプロバイダであるLevel 3がBGPの経路を「漏らした(leakした)」ことによって発生したとあります。 Dyn blogでは、今回の障害を紹介する記事中で、Level 3のことを「largest telecommunications network in the world(世界最大のテレコミュニケーションネットワーク」と表現しています。
- DYN blog: Widespread impact caused by Level 3 BGP route leak
- WIRED: How a Tiny Error Shut Off the Internet for Parts of the US
Level 3がBGP leakを起こしてしまったことによって、意図しない経路に大量のトラフィックが流れて輻輳したことによって、各所で通信性能が著しく低下したようです。
この障害による影響は、は主に米国内で発生したようですが、ブラジル、UAE、アルゼンチンなど、米国外でも障害は発生したとDyn blogに書かれています。 大きな影響を受けたのは、米国最大のISP(インターネットサービスプロバイダ)のComcast、Bell Canada、Netflixなどだそうです。
8月に発生したGoogleの障害に似ている?
今年8月に、Googleの誤設定によるBGP leakが大規模なインターネット障害を発生させました (参考:2017年8月25日の大規模インターネット障害)。
8月に発生したGoogle発のBGP leakは、Googleと直接繋がっているASからの細かい経路が漏れてしまったことが大きな要因であったと思われます。 今回のLevel 3のBGP leakでも、Level 3が本来他に提供しないはずだった細かい経路(specific route)が漏れてしまったことによって、その経路を受け取ったASでlongest matchによって選択されたのではないかと推測されます。
トラフィックエンジニアリングのために細かい経路を大規模なASに対して提供し、大規模なASがそれを漏らすことで障害が発生したのではないかと推測されるという意味では、今回の障害と8月の障害は構造が似ているような気がします。
以前、「インターネットは日々壊れている」という記事を書きましたが、今回の大規模障害も、ある意味では「良くある」インターネット障害なのかも知れません。 影響を受けたのが主に米国であることから、日本では気がついていない人々も多であろうと思われる点を含めて、「インターネットでは、わりとあること」と言えそうです。
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