Web管理者に著作権侵害監視が義務化?

   このエントリをはてなブックマークに登録    2010/2/14-1

ネット接続サービス事業者に海賊版を自動検出する技術の導入を義務付けすることを検討するための作業部会設置され、来月中間報告が発表されるようです。 まだ、詳細な資料を知らないので、以下の文章は単なる私の妄想ではありますが、これって結構影響範囲がデカイ気がします。

「ネット接続サービス事業者(プロバイダー)」という単語を見て「なんだISPだけなんだ」と思うかも知れませんが、プロバイダ責任制限法的な視点では「特定電気通信役務提供者」としてWebホスティング業者やWeb管理者も含まれます。 さらに、「特定電気通信役務提供者」が個人か法人かも問いません。 そのため、この作業部会の議論が下手な方向に行くと日本国内でCGM(Consumer Generated Media)を運用するには海賊版対策が必須となる可能性もありそうだと思いました。

記事が非常に短いので全文転載になってしまいますが、以下が日経の記事です。

政府、ネット上の海賊版対策強化 インターネット-最新ニュース:IT-PLUS

 政府はインターネット上での映画や音楽などの海賊版の取り締まり強化に乗り出す。ネット接続サービス事業者(プロバイダー)に海賊版を自動検出する技術の導入を義務付けることや、違法ダウンロードを繰り返す利用者との接続を強制的に切断する仕組みを検討する。海賊版の利用に歯止めをかけ、制作者の著作権を保護して収益を得られるように支援する。
 政府は知的財産戦略本部(本部長・鳩山由紀夫首相)に作業部会を設置し、3月までに中間報告をまとめる。6月に策定を見込む成長戦略や知的財産推進計画に盛り込みたい考えだ。

「自動検出」の意味するところと、その技術的背景などは現時点では全くわかりませんが、海賊版通報ボタンを設置すれば良いとか、そういうレベルだったりするのかという妄想が頭の中をグルグル駆け巡りました。 もし、そうでなければ、音楽や動画の「自動検出」の技術って現在どこまで信頼できて、どのレベルまで実装するのが義務化されるのかで色々変わりそうです。

ITproの記事では、映画と音楽に限定しているように読めますが、「音楽と動画だけは著作権保護を義務づけるけど、文章は義務付けません」というのは不自然な気がするので、もしかすると文字情報に関しても影響が及ぶのではないかと妄想しました。

文字情報に関しても自動検出技術導入が義務づけられると、極論としてはブログのコメント欄に著作権侵害文字列を書かれることを防止しなければならない、とも言えてしまうかも知れないと思いました。

特定電気通信役務提供者

今回、私が「Web管理者にも影響があるのでは?」と思ったのは、プロバイダー責任制限法における「特定電気通信役務提供者」に、Webホスティング事業者やWeb管理者が含まれるためです。

総務省が公開している「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 - 逐条解説 -」の2ページに、以下のように書かれています。

「特定電気通信役務提供者」

「特定電気通信役務提供者」とは、ウェブホスティングを行う者や電子掲示板の 管理者など、特定電気通信の用に供される電気通信設備を用いて他人の通信を媒介 している者等である。第2条において定義される。

私も忘れていましたが、そういえばプロバイダー責任制限法の「プロバイダー」には、掲示板管理者も含まれてました。

ISPだけでも影響が大きそう

今回の話題は、Web事業者は関係がなく、ISPだけだとしても結構大きな変化だと個人的には思いました。 たとえば、ISPが行うのであれば「通信の秘密」との整合性はどうするのだろうという点を思い浮かべました。

「通信の秘密」に関してWikipediaには以下のように書かれています。

憲法上の通信の秘密は政府など公権力に対する義務として課せられたものであるが、電気通信事業者に対しては、電気通信事業法第4条第1項で通信の秘密について「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。」として定めている。この義務は電話事業者のみならずインターネットサービスプロバイダなど、すべての電気通信事業者に課せられるものであるが、また一般個人に対しても課せられている。すなわち、一般個人であっても電話の盗聴などを行なうと電気通信事業法における通信の秘密を侵害したことになる。

ISPが各ユーザの通信内容を傍受して海賊版があるか無いかを調べるのって、通信の秘密を侵しているような気がします。 でも、そもそも、万人単位のユーザによる通信が細切れのパケットに別れて流通している状態で、それを横から傍受してリアルタイムに再構成しながら、海賊版であるかないかを判断するような技術って世の中にあるのか疑問に思いました(ウィルスであるかないかを判断する製品はありますが。。。)。 あったとしても、非常に高価なものになりそうです。

そして、その高価なものが「義務付け」になったとき、まわりまわって最終的には日本中のインターネットユーザが分散して料金負担をすることになりかねない気がしました。 非常に高価な機器が急に義務付けされたら、恐らくインターネット接続料金が上昇するのではないかと妄想しました。

さらにそもそも論ですが、ISPが監視する方式では、ユーザによる通信が暗号化された場合に無力です。

うーん。。。 そう考えると、やっぱり「ネット接続サービス事業者(プロバイダー)」はWeb管理者をターゲットにしてそうな気がしてきました。。。

昨年の朝日新聞にも記事があった?

次のブログ記事を見ると、どうも昨年12月8日の朝日新聞朝刊にも同様のニュースが掲載されていたようです。

弁理士安瀬のブログ: 接続業者の責任強化 ネット海賊版対策

 12月8日、朝日新聞朝刊29面社会欄に
 接続業者の責任強化 ネット海賊版対策 知財本部検討へ
 のタイトルの記事があった。

 同記事によると、
「政府の知的財産戦略本部は8日、インターネット上にあふれる違法な音楽や映像などの海賊版の対策強化に乗り出す方針を決める。」
  とのこと。

去年から議論していたんですね。。。

最後に

今のところ、公開された詳細な資料を発見できてないので、ここに書かれていることは単なる私の妄想ですが、目立ってない割に結構凄い話なのではないかと思いました。。。 私の勘違いであったり、単なる気にし過ぎだといいのですが。。。

(via 「benli: インターネット上での映画や音楽などの海賊版を取り締まる方策として政府が考えていること」 ←小倉先生は「ネット接続サービス事業者」をISPと解釈されているので私の文章とはニュアンスが結構違うと思いますが、私は小倉先生のブログ経由で、ITproの記事を知りました)

参考

追記

ダウンロード違法化とISP通信監視義務化

   このエントリをはてなブックマークに登録