リアリティ番組を良く見る人はSNSで社交的

   このエントリをはてなブックマークに登録    2008/10/24-2

アメリカでの調査によると、リアリティ番組を良く見る人はSNSで社交的に振舞う可能性が高くなるそうです。 具体的には、リアリティ番組を良く見る人ほど会った事が無い他人との交流が多くなる傾向があるとのことでした。 「We're All Stars Now: Reality Television, Web 2.0, and Mediated Identities, Michael A. Stefanone, Derek Lackaff, Devan Rosen, HT'08, June 2008」という論文を読みました。

この論文は社会的認知理論を使ってリアリティ番組とSNSでの振舞いの相関に関して調べています。 かつては、俳優、女優、モデル、アスリートなどのセレブ(celebrity)と呼ばれるような有名人がマスオーディエンスに影響を与えていましたが、最近ではリアリティ番組によって「普通の人」が有名になる事が増えてきており、セレブと一般人の境界はなくなって来ていると論文では主張しています。 論文での調査は、このような「誰でもスターになれる」という状態とWeb2.0技術の関連を調べる事を目的としています。

社会的認知理論では「モデリング」という用語があります。 この「モデリング」とは、他者の行動を観察することによって自らが経験をせずに学習を行い、その学習結果を元に自分の行動に影響が発生することです。 社会的認知理論提唱者であるバンデューラ(Bandura)によると、行動モデルを考察するうえでテレビは極めて重要な役割を果たしているそうです。 バンデューラは、モデリングは単純なイミテーションというわけではなく、複数の段階に分かれており複雑であるとも述べているそうです。

論文では、リアリティ番組によって特別な美形でなかったり、特殊技能をもっているわけではなかったり、お金持ちではないような、「普通の人」もセレブになる価値があるという概念が拡がりつつあると論じています。 そして、Web2.0技術によって人々は自分自身を発信できるようになっており、映画スターやファッションモデルと同じ規模のオーディエンスに直接接触する事も可能になったと述べています。 このような概念の広がりとオンラインでの行動の関連を調査するのが、この論文の研究の目的であるそうです。

実験結果

この論文による実験結果では、若い人ほどSNSにおける"friend"登録者数が多い傾向が観測されたとされています。 以下「ネットワークサイズ」とは"friend"によって構成されるネットワークの大きさを表します。

その他、以下のような傾向が見られたと記述してありました。

  • テレビの視聴時間とオンラインでの写真共有の間に相関性は見られなかった
  • リアリティ番組以外の番組(ニュース、フィクション、教育、その他)に関しては相関が見られなかった。リアリティ番組視聴者でのみ相関が発見できた。
  • ネットワークサイズと公開している写真の数の間には相関性が見られた
  • SNS利用時間と年齢/学歴との間に相関性は見られなかった
  • 若い人ほどオンラインプロファイルを調整するのに時間がかかっていた
  • リアリティ番組視聴時間が長いほどオンラインに費やす時間も長かった
  • リアリティ番組を視聴している時間が長いほど、会った事がない"friend"の数が増えた
  • 年齢、性別、学歴、それぞれと写真共有の個数には相関関係が認められた
  • 最も多く写真共有を行っていたのは若い女性だった

調査方法

この論文では、大学生452人に対するオンライン調査を行っています。 生徒は授業の一環として調査への協力を依頼されています。 サンプルの58%が女性で、平均年齢は20.3才でした。

SNSへのログイン時間は聞き取り調査によって行われ、平均で1セッションあたり47.4分利用していたことがわかったそうです。 SNSでは、一般的に"friend"であるか無いかの2つの状態がありますが、今回の調査では"friend"の一人当たりの平均は282と述べています。 この"friend"は、会った事が無い人も含まれています。 リアルで会った事が無い"friend"の割合は平均14%だったそうです。

テレビ視聴に関しては以下の質問が5つのテレビ番組カテゴリ(ニュース、フィクション、リアリティ、教育、その他)毎に用意されました。

  • 1日何時間視聴しているか
  • 週何日テレビを見るか
  • 見ていた番組の内容

被験者が見ていたリアリティ番組としては、Real World、American Idolなどが挙げられ、フィクションとしてはSimpsons、CSIなどが挙げられたそうです。 リアリティ番組とニュースはそれぞれ週6時間、フィクションが週9.3時間、教育番組が週5.4時間、その他が週4.7時間という結果が記述してありました。

考察

論文では、以下のような考察をしています。

年齢が若いほどネットワークサイズは大きくなる傾向にあったが、テレビとの相関性は認められなかったそうです。 しかし、ネットワークサイズの中身を見ていくと、リアリティ番組と「会った事が無い"friend"」の数との間に相関性が認められたと述べられています。 そして、論文では「テレビによる影響はある」と結論付けています。

最後に

アメリカで放映されているような純粋に一般人が注目されるようなリアリティ番組の状況は日本とは多少異なるため、この調査の結果をそのまま日本にあてはめた議論はあまり意味がないかも知れません。 文化の違いなどもありそうです。 しかし、テレビで放映されている事が潜在意識に影響を与えて、オンラインでの行動に影響が出ている可能性があるというのは非常に興味深い話だと思いました。 検索キーワードが影響を受けるような直接的なものではなく、誰も気がついていない潜在的な影響も実は色々あるのかも知れないですね。

今回の論文は、SNSにおいて見知らぬ人を"friend"にするかどうかが着目されていましたが、実はTwitterで全く知らない人々をエンターテインしているような人の方が今回の論文の趣旨に合いそうな気がしました。 ブログに関しても同じような研究が出来そうですが、読者への認知という部分が調査が難しく、やはりSNSやTwitterのような発信者側の承認や認知が関わる何かの方が関連研究がしやすそうかなぁと思いました。

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