100Gbps x 2のリンクアグリゲーション@Interop Tokyo 2011

2011/6/8-1

今回のInterop Tokyo 2011対外線は、合計で310Gbpsです。 対外線は全てNTTコミュニケーションズによるコントリビューションですが、利用されているのは今年1月に発表され4月から提供が開始されたArcstar Universal Oneです(*)。

Brocade MLXe8

冗長化され複数あるInterop Tokyo 2011対外線のなかで最も広帯域なのがJPNAP東京Iへの200Gbps回線です。 この回線は、100GbE 2回線をリンクアグリゲーション(LAG/Link Aggregation)によって仮想的に200Gbps回線を作ったものです。 ShowNet側でリンクアグリゲーションを行っているのは、Brocade MLXe8です。

(*) 発表当初は「Universal One」という名称でした。

2種類の異なる伝送方式

JPNAP東京Iへの100Gbps x 2 LAGの伝送部分も非常に面白いです。

それぞれの100Gbpsが別々の伝送装置を利用しています。 Ciena ActivFlex 6500とInfinera DTNです。 さらに、機種だけではなく、伝送の方式そのものもそれぞれ異なります。

Ciena ActivFlex 6500


Infinera DTN

今回の100G x 2 LAGを図にすると以下のようになります。 Ciena ActivFlex 6500が100Gを1波で実現し、Infinera DTNが40G 1波と10G 6波で合計100Gです。 さらに、それらをBrocade MLXe8がLAGで200Gにしています。

通常は、伝送部分に同じ機種を利用してリンクアグリゲーションを行いがちなので、このような異なる二つの方式での100G伝送をリンクアグリゲーションして200Gとして運用しているのは、世界初なのではないかと思います。 (というか、こういうチャレンジングな構成での実運用は「様々な組み合わせを試してみる」というInteropならではであり、商用運用では将来も少なそうな気がします)

Infinera DTN

Infinera DTNは、100GbEを40G(OTU3) + 10G x 6のBandwidth Virtualization機能によりマッピングし、100Gの帯域を作り出しています。

昨年のInterop Tokyo 2010でも、Infinera DTNを利用して10G x 10を100Gに見せかけるInverse Muxが利用されていましたが、今回は40Gが1波分利用されて合計100Gが実現されています(参考:世界初の100GbE-LR4運用@Interop (去年のInterop Tokyo 2010で書いた記事))。

Ciena ActivFlex 6500の1波での100G実現の方が派手さがありますが、10Gから100Gまでの移行期には、このように様々なものを混ぜ合わせて100Gを実現する技術が重宝がられる気がします。

Ciena ActivFlex 6500

昨年展示されていたアルカテルルーセント1830 PSS-32による1波 100Gは独自方式でしたが、今年のCiena ActivFlex 6500による1波100Gは、標準化されたOTU4を利用しています(参考:世界初の100Gbps 1波伝送実運用@Interop)。 その中で利用されている具体的な技術は、DP-QPSK(Dual Polarization Differential Quadrature Phase Shift Keying)です。

この技術は、変調された4つの光位相をかけて2ビットとして表現し、それを直交する2つの偏波として送受信するというものです。 送信されるシンボルは25Ghzですが、各シンボルが2ビットを表し、それが2つの偏波として送信されるので合計100Gになります。

この100Gは複数の技術の組み合わせで実現していますが、そのうちの一つが同じ波長で複数の光を同時に送る技術である「偏波多重技術(PDM, Polarization Division Multiplexing)」です。 光は振動しながら光ファイバの中を進みますが、その振動の向きは「偏波(へんぱ)」と呼ばれます。 水平方向に振動しながら光ファイバ内を進んで行く水平偏波と、垂直方向の垂直偏波の二つは、同一の光ファイバ内で混信せずに送ることができます。 全く同じ周波数で、この二つを同時に使うことで、送信可能な波の数を倍にできます。

PDM(Polarization Division Multiplexing / 偏波多重技術)

もう一つの技術が流れているアナログ信号の位相によって判断を行う位相偏移変調(PSK / Parse Shift Keying)です。 単純なものとしては、0と1のバイナリ値を表現するのがBPSK(Binary Pharse Shift Keying)がありますが、これは、流れている信号の位相を180°ずらした二つの信号を0と1へとマッピングするというものです。

BPSKは、180°ずらした二つの信号を利用して0と1の2種類の値を表現していますが、90°ずらした4つの信号を利用するのがQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)です。 QPSKでは、一つのシンボルで表現出来るパターンが4パターンになります。

その4つのパターンは、2ビットの表現にマッビングすることができます。 たとえば、通常の波形に00、90°進んでいる波形に01、180°進んでいる波形に10、270°進んでいる波形に11を割り当てるといった感じになります。 以下の図は、90°、180°、270°進んだ波形を示しています(点線部分は0°の基本波形です)。

QPSK


QPSKは、基本となる波形との差分でビットを表現しますが、その応用としてDPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)があります。 DQPSKは、直前のシンボルとの差分で情報を伝えます。 たとえば、直前のシンボルと同じものは00、90°進んだものは01、180°進んだものは10、270°進んだものは11といった具合にシンボルの差分に対して2ビットが表現されます。

200GbpsのLAGって想像がつかない。。。

100Gbpsでも恐ろしく広帯域な通信だと思えるのですが、リンクアグリゲーションで200Gbpsというのは、さらに凄くて想像がつかない今日この頃です。 でも、数年すれば、こういうのが各所で使われるようになるのかもですね。

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