YouTubeとの通信による二酸化炭素消費量について妄想

2009/1/16-1

データセンターなどで消費される電力と、それによる二酸化炭素消費に関して語られる事は良くあります。 例えば、展示会などで「グリーン」といいながら宣伝しているものの多くはデータセンター等での消費電力削減効果を宣伝しています。

しかし、ネットワークという視点でユーザの活動を見ると「通信を行う相手」というものが存在しながら通信を行います。 例えば、「検索エンジンを使って検索を行う」という行動を起こしたとき、検索エンジンまで「通信」が行われます。

その「通信」は、パケットという単位に分割されて行われています。 各パケットは電気信号や光信号になりながら複数のルータを経由して目的地まで到達します。 目的地が太平洋の向こう側であれば、通常は海底の光ケーブルを通過していきます。 海底の光ケーブルというのは一本のケーブルではありません。 光ファイバーには距離の限界というものがあり、海底に設置された中継器と呼ばれる増幅装置を何個も通過します。

このように「通信」には見えない機器が大量に関わっています。 そして、例えば光ファイバを扱うルータであれば、光信号を電気信号に変換して転送先を考えてから、また電気信号を光り信号に変換して出すなどの作業を行う場合もあります。 要は「検索一回」であっても無数の機器の電力を消費していることになります。

YouTubeトラフィック

日本のISPでのトラフィックを見ると、海外からのパケット流入が2006年から急激に増加しています。 以下にある2個目の図の紫三角(B3 in)は海外から日本へ流入しているトラフィックです。 割合で見ると、急激に増加しているのがわかります。

動画サービスが原因と思われるインターネットトラフィックの変化に関しては「P2Pは停滞/ストリーミングが増加 - 日本のインターネットトラフィック」をご覧下さい。

この急激な増加はYouTubeによる動画配信が原因ではないかと思われます。 一つのWebサービスが国内トラフィックの形を変えるまでの影響力を持っているというのは凄いと思われます。

そして、次の瞬間、ふと疑問に思います。 「あれ?何で国際トラフィックが増えるんだ?jp.youtube.comってなかったっけ?」と。

traceroute jp.youtube.com (windowsだとtracert)コマンドを実行すると、恐らくアメリカにjp.youtube.comがあると思われるような結果になります。 途中からいきなりRTTが100msecを超えます。 恐らくそこから先が太平洋の向こう側なのでしょう。

ということは、日本にいる人がYouTubeの動画を見ると大量のパケットがアメリカ国内、太平洋、日本国内を流れます。 そして、それぞれが電気を消費します。 そこまで考えると、「YouTubeによる電力消費ってYouTubeを運用しているデータセンターだけを考えればいいの?」という疑問が湧いてきます。

このようになってしまうのは、映像という表現手法の特性も関連しています。 HTMLなどのテキスト情報やJPEGなどの画像情報と比較して、映像は莫大なデータ量が必要になります。 今後、HD映像が増えれば増えるほど、世界中で消費される電力量も大きくなりそうな気がします。

で、Web運営社が悪いの?

このような話になったときに「Web運営社が悪い」という話になるのは避けたいところです。

例えば、電力消費を抑えるために各ISPにYouTube用のキャッシュを置こうという話があったとします。 さて、どこにキャッシュを置いて誰がその費用を負担するのでしょうか? 莫大な費用負担が発生する事が予想されるので、恐らく誰もそれをやりたがりません。 やってもメリットがないからです。 みんな、今の状況で何とかなってます。 例えば、「二酸化炭素削減」という名目でISP内にキャッシュサーバを設置したとして、利益を受けたり評価されるのであれば誰かやるかも知れませんが、それも現状では期待できないだろうと思います。

「Web運営者が発生させるトラフィック負担をISPが行うの?」という議論は色々行われていますが、多少視点が違うだけのような気がします。 難しい話ですね。

最後に

物事全てを二酸化炭素で語ろうとするのは、何となく気持ち悪い気もしますし、パケット単位で物事を考えるとあまりに複雑になり過ぎて実現が困難な気もします。 しかし、色々妄想していたら「パケットを出す」とか「通信の終端同士の経路とエネルギー」という視点でのエネルギー消費を考えてみるのも面白いのではないかと思った今日この頃です。

なお、繰り返しになりますが、この記事は特定の団体を批判するために書いているわけではありません。 純粋に「計測/推測できない物だろうか?」と思った事と、何故その考えが浮かんだかを述べているだけです。 ご注意ください。

「ニコニコ動画は?」という話もありそうですが、あちらはサーバも視聴者も両方とも国内で閉じているので全ての通信が太平洋を超えるのと比べるとエネルギー消費は小さそうです。

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