「転載しているだけです」という言い訳に関して

   このエントリをはてなブックマークに登録    2011/10/20-2

いつも学術的な視点で面白い記事を書かれているnext49さんが「発生練習 - 出典の明記をしないので責任どっかぶりの予感」という記事にて出典を明記する重要性を書かれています。

で、ハムスター速報:とくダネ!で福島の農家がJA天草(熊本)の米袋に産地偽装してるのが堂々と流れるは、2chの書き込みをまとめているというスタイルだけど、どこのスレッドからコメントを転載しているのかが書いていない。なので、「この悪意のある情報発信はお前がやったのか?」と言われたときに「いえ、転載しているだけです」という言い訳が立たないように思う。

なぜ、引用・転載をする際には出典を明記しなければいけないのかで書いたように出典の明記は自分を守るためという意味合いもあるのにの一つの例。

確かに出典を明記していないので「いえ、転載しているだけです」という言い訳ができないという解釈はその通りだと思いました(本件に関係無く出典を明記すべきであることはその通りだと私も思います)。

ただ、いくつか補足したいことがあります。 出典を明示することによって賠償を軽減できる可能性はありそうですが、今回のような事件ではそもそも名誉毀損が成り立つと推測しています。

転載であっても名誉毀損

今年の6月に、ヤフーが産経新聞のニュースを転載したことによって名誉毀損の損害賠償命令をいいわたされました(参考)。 その後、ヤフーと産経新聞が控訴(参考)していますが、報道機関だけではなく、報道機関の情報をそのまま掲載したヤフーに対しても賠償を命じられたことが話題となりました。

ネットに個人が書き込む場合でも報道機関と同基準

さらに、ネットにおいて個人がどれだけ調べて文章を掲載する責任があるのかということに関して、報道機関と同基準であるという判例が去年登場しました(参考)。 具体的には以下のようにあります。

インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても,他の場合と同様に,行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない

要は、報道機関と同じぐらい調べてからネットに掲載しないと名誉毀損が成立するということです。

追記:記事見出しで賠償命令

2008年に、記事本文を全部読めばわかるものであっても、記事見出しが誤解させるものであるため名誉毀損であるという判決がありました。(47NEWS: 毎日新聞に記事見出しで賠償命令 110万円)

47NEWSの記事には、以下のようにあります。

記事本文では「収集運搬を請け負った業者の関係者が横流しした」と明記していたが、松井英隆裁判長は「記事の見出しだけを見ると、ヤマダ電機による横流しを報じたと認められ、社会的評価を低下させた」と指摘。

その上で「新聞の場合、記事全体の印象が評価の対象となり、本文を読めば事実が分かる。しかし、ネットや携帯電話のニュース配信については、見出しだけを見る読者も多く、名誉棄損に当たる」と判断した。

徐々にネットへの書き込みの責任は重くなっている気がします

このように、転載であっても名誉毀損は成立しますし、十分な調査をせずに掲載することによっても名誉毀損が成立するようです。

今後、さらに様々な判例が登場して、ネット上での個人による表現に対する責任は重くなって行きそうな気がしています。

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