OECDレポートから垣間見える「日本のIPv6」

   このエントリをはてなブックマークに登録    2010/4/14-1

OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development,経済協力開発機構)がIPv6に関する調査レポートを発表しています。

Measuring Deployment of IPv6

このレポートは、2年前に行われた「Economic Considerations in the Management of IPv4 and in the Deployment of IPv6」に続くものです。

この中で、IPv4アドレスは2011年中にIANAプールが枯渇し、2012年には各地域毎にアドレスを割り振るRIR(Regional Internet Registry)のIPv4アドレス在庫も枯渇すると予想しつつも、世界的な経済危機によってIPv4アドレス需要の成長が遅くなったとも述べています。

このレポートの最初に以下のような文があります。 かなり豪華なメンバーによる監修だったようです。 現時点では、このOECDレポートは世界で最も詳細かつ最新なIPv6情報源の一つと言えそうです。

Experts from the Internet Technical Advisory Committee to the ICCP Committee (ITAC) and the Business and Industry Advisory Committee to the OECD (BIAC) have provided comments, suggestions, and contributed significantly to the data in this report. Special thanks are to be given to Geoff Huston from APNIC and Leo Vegoda from ICANN on behalf of ITAC/the NRO, Patrick Grossetete from ArchRock, Martin Levy from Hurricane Electric, Google and the IPv6 Forum for providing data, analysis and comments for this report.

このOECDレポートは、IPv6への移行技術や、IPv6ネットワークの世界的な規模やトラフィックなどを紹介するなど、非常に参考になりますが、それらの詳細はここでは割愛します。 興味があるかたは、是非OECDで公開されている原文をご覧下さい。

日本のIPv6

OECDレポートの中で、個人的に「あー、こうなってるのね」と思った図がありました。 12ページにある、年毎に国別のIPv6アドレス割当数を示した物です。

アメリカでは2007年からIPv6アドレス割り当てが急激に伸び、ドイツ、イギリスやその他いくつかの国は2008年から伸びているように見えます。

日本は、2001年から2002年にかけて一度大きくIPv6アドレス割り当てが跳ね上がった後、2008年から微妙に増えているような雰囲気です。 この図を見ると、アメリカが一気にIPv6へと動いている横で、2001年頃に国主導で推進しようとしたIPv6のイメージを引きずっているのが数値に現れているような気がしました。

OECD報告書には、以下のようにあります。

While Japan had an early lead in IPv6 deployment after its 2001 national strategy for the adoption of IPv6 (e-Japan), other countries have been catching up (Figure 2). In particular, there was a surge in the number of IPv6 allocations in the United States starting in 2007.

「日本は2001年にIPv6に対してリードがあったけど他国もキャッチアップした」という風に表現されているようです。

振幅は日本ほどではありませんが、図を見ると韓国も同様の傾向がありそうです。

2001年のe-Japanの功罪

IPv6に関連した話題になると、日本で2001年頃にIPv6がバズワード化した話が出る事があります。 あの頃を思い出して「IPv6なんて来なかったじゃないか?狼少年じゃない?」という人はかなり多いと思います。 ある意味、IPv6って怪しいものの代名詞と思っている人もいるのではないでしょうか。

一方で、2001年のe-Japanが無かった場合の世の中がどうなっていたかは、良くわからないと思う事があります。 個人的にいくつかのネットワーク機器ベンダな方々と話していて、「製品仕様としてIPv6機能を開発をしたのはe-Japanがキッカケだった」という発言を聞く事があります。 これはいくつかのベンダで聞いた事があります(○色とか、●色とか、◎色です。実際のところは良くわかりませんが)。

某シアトル産OSメーカーも、e-Japanが無かったらOSにIPv6を標準搭載していたかどうか、私には良くわかりません。

ということで、ある意味、日本ってIPv6に関しては「損な役回り」になってるのかもと思う事があります。 KAMEスタックとか、実はIPv6初期の活動って後に大きな影響を与えていると個人的には想像しています。

ただ、IPv6というものが選択肢として存在してない状態で、IPv4アドレス枯渇が迫っていたらどういう世の中が来ていたのかという点にも興味はあります。 IPv4が絶妙なバランスで延命されたか、全く別なIPv10ぐらいのものが生まれていたのか、IPv6のデプロイメントが突貫工事で急激に行われたのか、妄想は尽きません。

IPv6の話題が増えて来たと思う

Google Newsなどを見ていると、最近はIPv6に関連するニュースが急激に増えている気がしています。

さて、再来年と推測されているX dayは、どんな感じの雰囲気になっているのでしょうか。 また、再来年以降のインターネットはどのように変化してるのでしょうか。

参考

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