ネット経済活動のストロー現象と有料Webに関する妄想

2009/9/14-1

「新幹線や高速道路を誘致すれば地方都市も活性化する!」と思っていたのが、いざ完成してみたら地元の人々が都市へ行くトラフィックばかりが増えてしまって地方都市が衰退するというストロー現象(ストロー効果)というものがあります。

実は、このストロー現象はインターネットでも発生しているのではないかと思いました。 様々な日本国内の物やお金が、高速回線に乗って外へと吸い出されて行く仕組みが出来上がりつつあるのではないでしょうか? 回線が遅かったがために実現しなかった事が、回線速度やCDN(Contents Delivery Network)の発達によって実現しつつあるのかも知れません。

昔、クリントン政権下でアル・ゴア副大統領が「情報スーパーハイウェイ」と言っていましたが、高度に整備されたインターネットも高速道路と同じストロー現象を発生させるのかも知れません。

例えば、Google Adsenseが幅広くネット広告枠を握り、クラウドでデータ本体はアメリカ本土上に設置され、PayPalが日本事業を本格化して(参考)少額決済を握ったとき、ネット上のお金の流れは一度国境を越えるのがデファクトスタンダードになりそうです。

インターネット上のコンテンツやWebシステムなどには「参入させない」という形の参入障壁はリアルな世界よりも少ないように思えます。 その一方で、誰でも簡単に作れ過ぎてしまうために「作っても誰も見てくれない、使ってくれない」という恐れがあります。 そして、巨大な存在が発生すると、皆がその巨大な存在の重力に引き込まれて行き、巨大な存在はより巨大化/一極集中していきます。

結果として国境を越えて全てのものを飲み込むような巨大な存在がインターネット上に出来上がっているのかも知れません。

ここからは有料購読の話

何故こんな話を考え始めたかですが、元々はWebの有料購読に関して考えていました。 ここから後ろの文章は「有料Webサイトを作るためのシステムを作る人はどう考えるだろうか?」という観点で書いています。 このサイトを有料化したいとか、そういう考えではないので、、、念のため。。。

まず、漠然と「Webの有料化に関して妄想」で書いたような内容でのWeb記事の有料化の実現方法を妄想していました。 携帯電話やiPhoneや電子ブック等のハードウェアに紐付けられた仕組みではなく、PCベースの世界では、恐らくインターネット上での決済システムが必要だろうというところから妄想は開始しています。

少額決済

有料化すると無料である時と比べると読者が減るというのは大きな問題なのですが「どうやってお金を回収するか?」という点も大きな問題です。 特に個人で運営しているサイトが今のアフィリエイト感覚で有料サイトを作ったりする事を考えると、クレジットカード対応を行うのは難しいです。 また、非常に気軽に何も考えずにお金を払った事になるようなシステムでなければ、ユーザはお金を払わない事が予想されます。

そうなると、各サイトには少額を支払い、後ほどまとめて一括払いできるような中間的な課金サイトが欲しくなります。 要はPayPalのような仕組みです。

私がインターネットに初めて触れた15年ぐらい前から少額決済の話はありました。 当時は1円以下の単位でお金をユーザに払ってもらうという話題が多くありました。

個人的に「今後ありそうだなぁ」と勝手に妄想しているのが、特定のサイトに100円を毎月払うのではなく、見た回数だけ少額決済で払う事が出来るようなシステムです。 いつもは見ているわけではないけど特定のグループに属しており、そのグループのコンテンツは毎月1ページ0.1円で見られるというようなモデルでしょうか。 i-modeなどのパケット課金に近いモデルと言えるかも知れません。 (結局PageView重視モデルですが。。。)

今のユーザは特定サイトに対しての「購読料」は支払わないと思いますが、特定のグループ全体に対して課金された「サービス」に対しての支払いはあり得るのではないかという考えです。

少額決済の仕組みは、シェアを奪うための戦いでもありそうです。 基本的に各社は自分の所でユーザを囲い込みたいので、少額決済システム間での連携は色々大変です。 そもそも、例えば社員認証方法をグループ会社内で統合するのも大変な作業と言われているのに、不特定多数に関しての個人情報を他の会社と提携しつつ、決済まで関わって来るとなると異常に難しい気もします。 ということで、どこか一つ異常に強くて大きいところが一つ登場するかどうかですかね。。。

認証が必要

ただ、今回の妄想のような定期購読者情報外部委託方式だと単なる少額決済ではなく、恐らく外部の認証システムも必要になります。 認証だけではなく権限付与のための仕組みも必要です。

コンテンツを見て良いかどうかの判断や、見たコンテンツに関しての課金や、場合によっては一度課金したコンテンツに関しては再度課金しないような例外処理も必要になるのかも知れません。 1トランザクション毎に課金が行われる物の売買モデルとは違うような気がします。

このような大規模な操作を個人サイトでは運用しきれないので、それを運用するための公開APIなども必要になるでしょうし、膨大なトラフィックに耐えられるようにするためのネットワーク設計やサーバ設計も必要になりそうです。

匿名性を保った認証が欲しい

あまりに正直に「ユーザ情報」を各個人サイトに伝えてしまう事には抵抗があります。 インターネット上の有料文章を購読するユーザは、「誰が何を読んだか」に関する情報や、「誰が毎月いくら購読料を払っているか」などの情報は可能な限り匿名に保ちたくなります。

このようなユーザのニーズを実現するための技術としては、実は電子投票を行うための仕組みに近い物がありそうです。 有効な投票者であることを確認しつつ、誰が誰に対して投票したかは匿名として保つというものです。 同様の仕組みを使った電子決済手法が登場するのかなぁと思いました。(まあ、今のPayPalもそれが目的と言えばそれが目的ですが。。。)

そして巨大な監視網の完成

で、そのような少額決済システムと有料購読Webサイトが当たり前の世界が来ると、世界中の人々は「何を見ているか」に関しての情報を一カ所に集中させるようになるかも知れません。 個々の「誰が」に関しては、ぼかせるのかも知れませんが、全体の傾向をかなり正確な数値として把握できる組織は誕生します(この点に関してはAdsenseとAnalyticsは同様ですが)。 何故ならば、有料購読を許可するかしないかを決定するためのAuthorization(権限付与)が発生するからです。

また、特定の少額決済サービスが巨大になると「このサイトには使わせない」といった「利用拒否」を活用することによって、特定サイトの経済活動を停めてしまう事も出来てしまいそうです。 非常に多くのユーザが決済方式として特定の少額決済サービスを使っていて、そのサービスから「利用拒否」されていると他のサイトを選ぶでしょうし、サービス拒否されたサイトは「怪しいサイト」と思われてしまいます。 これに関しては検索エンジンからの登録抹消も似たような感じなのかも知れません(検索エンジンからの登録拒否はお金と直接的に絡むわけではありませんが。。。)。

インターネット上で世界中のユーザのAAA機能を全て司る巨大組織は、世界中の思想を全て知れるだけではなく、コントロールまで出来てしまいそうで怖いような気がします。 AAA(Authentication認証、Authorization権限、Accounting課金)的な各機能を個別の組織が行ったとしても、特定箇所に莫大な情報が集まったり、思想や行動に応じて経済活動を止めてしまう強力な権限を持った「何か」ができてしまう可能性があるのかもと妄想してみました。

コンテンツ課金を考えて便利なシステムを作って行ったら。。。という感じですかね。。。 全てのネット上の活動が特定の何処かにストローで吸い上げられるという世界になってしまうのかも知れません。 まあ、ちょっと大げさで極端過ぎる飛躍が色々ありますが。。。

最後に

相変わらずネガティブ方面への妄想ですが。。。 何の根拠も無く、課金システムの作り方に関して色々と頭の中で妄想していたらこんな感じの話が出来上がってしまいました。

広告、少額決済、クラウドなどのインターネット上の経済活動には実は強烈なストロー効果があり、徐々に全てが一カ所に集約されて行くというextremeな流れに傾いているのではないかと妄想しまった今日この頃です。

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