エンジニアによる技術革新を妨害するのはエンジニア
エンジニアによる技術革新に対する大きな障害は、非エンジニアではなくエンジニアであるという場合もあります。 技術者やエンジニアは、新しい発想に対して無駄にネガティブな意見を連発したり、単なる抵抗勢力でしか無くなる瞬間もあるような気がしています。 例えば、熟練度が高いエンジニアほど新しいものよりも、枯れたものを好む傾向があるような気がします。
以下、エンジニアによる抵抗勢力的発言としてありそうなものを考えてみました。
なお、フィクションなのでご注意下さい。 (自分が過去にやって「あれは自分が間違っていた」と思ったことが一部含まれたりしているわけではないのでご注意下さい。そんなことはありません。)
1.「先行事例が既にあるよ」
ちょっとでも似たようなものがあれば「先行事例があるから無駄」という意見を言う人がいます。 「このような先行事例がある」というアドバイスは非常にありがたいのですが、「やるのは無駄」にはあまり根拠がない場合もあります。 例えば、その先行事例が何故あまり大成しなかったのかに関してはあまり吟味されず、目に見える仕組みの部分が似ているという点だけで「駄目」であると決め付けてしまうような状況があり得ます。
アプリケーションやサービスを作るとき、骨子となる仕組みだけではなくUIなどの操作性や見た目、さらに普及させるためのプロモーションなども重要な要素になります。 それらの視点を無視して骨子部分が似ているがために「駄目じゃない?」と言ってしまう事を避けなければならないと最近は気をつけるようにしています。
2.「そんなの作ればできる」
「そんなのプログラムが書ける人なら1ヶ月ぐらいで作れるよ」という発想になる場合があります。 「作ればできる」には、「そんなの技術的に簡単だから、さらに簡単にするようなアプリケーションを作る事には意味がない」というニュアンスを持つ場合もありそうです。
まず、作る事と運用することは別です。 (運用には作成したアプリケーションのメンテナンスも含まれます。) 一見簡単に見えるものであっても、運用することで見えてくるものもあると思われます。
さらに、作れるけど誰もまだ作っていないのであれば実は狙い目かも知れません。 「何故誰も作っていないのか?」「その分野に気がついていないだけか?それとも表面化していない困難が実はあるのか?」など一歩踏み込んで考えると良いのかも知れません。
「自分にとっては簡単だから誰でもできる」という発想になりがちですが、「ちょっと簡単になる」程度であっても、多くの人にはイノベーションであるように見えるものもありそうです。
3.「美しさがない」
アイディアが「美学に合わない」という理由で反対する人もいます。 このような方向性の反対意見を論破するのは非常に難しいと思われます。 反対意見を言われた方は、何をどう反対されているのか理解不能になる場合があります。
このときの「美しさ」には様々な面がありそうなので注意が必要です。 例えばエンジニア界での倫理観や道徳を「美しさ」と表現している場合もありますし、スケーラビリティや運用性を「美しさ」と言っている場合もあります。 根本的な何かをうまく説明出来ない場合に出る事が多い言葉が「美しさ」なのかも知れません。
4.「ユーザがつかない」i.e.「ニッチ過ぎる」
「そんなの誰が使うんだよ」という意見もありそうです。 「自分がその分野を使っていない⇒恐ろしくニッチである」という思考回路の場合もあります。
例えば、アイディアブレストの現場で「こんな案を考えてみました」を出し合ったときに、Web屋 vs 回路屋という感じで互いが相手に「それは使う人少ないんじゃない?」と言い合うという風景もあるかも知れません。
特に今までにないものを考えている場合、それが本当にニッチなのかどうかは予想しにくい場合があるのが厄介な点かも知れません。
5.「俺は使わない」
ニッチ過ぎるに非常に似ていますが「俺は使わない」という意見が出る場合もありそうです。
この意見も論破が非常に難しいです。 「いや、確かにあなたは使わないかも知れません」以上に何も反論しようがありません。
6. 枝葉末節に妙にこだわる
大枠ではなく、ちょっと口が滑ってしまった詳細部分に非常にこだわりを見せて最後まで粘着するという事例もありそうです。 その時、本人は粘着しているつもりはなくても、まわりには粘着にしか見えてないかも知れません。
エンジニアが枝葉末節にこだわる事例の多くは、自分が「はまった」過去の経験から「ここは問題になる」という点を強調したい心理が働いているものと思います。 そして、過去の経験へのリンクが語りを熱くさせます。 本質ではない熱い語りによって時間ばかりが費やされることもありそうです。
しかし、単にまわりが問題の本質を理解しておらず、紐解いていくと実は枝葉末節だと思っていた部分がクリティカルである場合もあるので、枝葉末節だとファーストインプレッションで思ったとしても「枝葉末節だ」と言って切り捨てるのも避けた方が良いかも知れません。
7. いつの間にか議論が摩り替わっている
枝葉末節に近いのかも知れませんが、議論をしているうちに何故か違う話になっていて、そもそも何の議論をしていたのかわからなくなってくる場合があります。
アイディア出したり磨いたりすることよりも、いつも間にか目の前の議論に勝つ事だけに着目してしまっているのかも知れません。 (そもそも「議論に勝つ」って何という問題もありそうです。)
8. コミュニティという視点が無い
特定の技術に対して非常に深いものを持っていると自負する人ほど、人の集まりやコミュニティの形成という視点が弱い場合もありそうです。 例えば、○○というネットワークプロトコルに関しては恐らく世界有数の実力を持っていると思われる人であっても、「インターネット上での人のつながり?何それ」と素っ気無いかも知れません。
そして、人と人との集まりによって発生する話題や、クチコミや情報の伝播に関するアイディアは全て「怪しい」と言って嫌うという状況があるかも知れません。
9. プロモーションという視点が無い
プロモーションなど必要はないので経費はいらないという発言が出るかも知れません。 例えば、技術的な新規性さえあればアプリケーションやサービスは爆発的に普及するという考え方が根本にある場合があります。
積極的なプロモーションを自らしかけるのではなく、「素晴しい技術は一瞬で必ず注目される」と言いながら受身な姿勢を貫く事が美学である場合もありそうです。
10. 妙なヒエラルキー意識がある
納期/コスト/提供されている環境/ライブラリ/メンバーの習熟度などに応じて臨機応変に開発手法を選ぶのが良い場合が多いのですが、 「PHPは駄目な言語だ」「漢はアセンブラだ」など、何かの特別な固定観念を理由に技術の採用を拒む人がいます。
プログラミング言語だけではなく、チップメーカーのブランドなどで根拠も無く嫌がるという場合もあり得ます。
関連 : プログラミング言語ヒエラルキー
とはいえケースバイケース
まあ、「技術革新」や「良いアイディアだ」と思っている側が単に無茶な事を言ってる場合も結構多くて、ケースバイケースなんでしょうけど。 どちらにせよ、自分が将来老害化しないように気をつけなければなぁと思った今日この頃です。
(「もう既に害を撒き散らしてる」という突っ込みはあるかも知れませんが。。。一番ありそうなのが「この記事が害だ!」ですかね。。。)
追記
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