インターネットは当初目指したものではなくなってしまった

   このエントリをはてなブックマークに登録    2017/9/12-1

NANOG 68のDesperately Seeking Defaultという発表にて、APNICのGeoff Huston氏が、いまのインターネットはかつてエンジニア達が目指したものとは違うものになってしまったと表現しています。

この発表が行われたNANOG 68(2016年10月17日)は、ネットワークエンジニアが集まるイベントであるため、ここで言う「我々」というのは、主にネットワークエンジニアを指しています。 IETFでもそういう雰囲気があるのですが、「我々がインターネットを作っている」という自負がある人々が会場内に多いです。そういった空気感がある「場」での発表です。

発表そのものは、インターネットを運用する際に見える「経路」は組織によって異なり、インターネットでは互いに通信ができないネットワークがあるという話です。 「Default」の経路として提供されるものが異なり、インターネットは構造的にEnd to Endの原理(End-to-End Principle)を実現できていないことや、そもそも気にしてもいないという発表が行われています。

この発表では、まず最初の方で、IPv6での計測結果として、6to4環境での通信障害の10%になるという話も紹介されていました。 「If you hate your customers, use 6to4. It's just horrible. It's really a protocol from hell」というのが笑えました(RFC 7526によって廃止されてますが)。なお、通常のIPv6に関してもエラーレートが1.5%だったと発表されています。

そのうえで、IPv4の経路も含めての話になり、インターネットが構造的に抱えている問題であるとしています。

最後のまとめ部分の発表資料は、次のようになっています。

そのまとめ部分では、以下のように発表しています(以下、意訳です)。

繋がらない相手がいても、みんな気にしてない。 インターネットは既にピア同士が繋がるネットワークではなくなってしまった。 もう何年も前に我々は、そういった作り方をやめてしまった。 Google、Facebook、Akamai、Netflixに繋がれなければ、みんな気がつく。 そして、オペレータは、そういった問題があれば、それを直す。 それでネットワークオペレータが生計を立ててるわけだから。 いまあるネットワークは、電話網と少しだけ違うものになっている。 いまあるネットワークは、CDNの配信システムだ。 顧客に対して、ある特定の集中したコンテンツを超高品質に提供するためのものだ。

かつて我々がインターネットのあるべき姿と思ってたものは、急激に、ゴールではなくなってきている。 もうすでに、我々が構築しようと思っているものではないし、我々がエンジニアリングで実現しようとしているものでもない。

我々が構築しているのは、片方向のネットワークである。大規模な事業者に対してと、そこからの戻りだけである。 私を含めて、それはすごく悲しいことだ。もうちょっと上手くできると思っていた。 電話網よりも良いものを作れると信じていた。でも、我々にはできない。

そろそろ、それを受け入れないといけないのかも知れない。 本当に世界中の人々に見てもらうことを目指すのであれば、大規模なCDN事業者からサービスを購入する必要がある。 もう私は自分でそれをすることはできない。インターネットでは、みんなが私を見ることができるわけではないし、私がみんなを見ることもできない。

面白い発表なので、ご興味のあるかたは是非ごらんください。

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