取材
私は学生時代にイベントの手伝いをしていました。 当時行っていたイベント手伝いはアルバイトではなく、報酬を受け取らない手伝いという形でした。
主に参加していたイベントは、Interopでした。 1997年〜2002年まで6回ボランティアメンバとして参加していました。 このInteropというイベントは非常に特殊なイベントです。
Interopの名前はInteroperability(相互接続性)から来ています。 昔はインターネット機器間での相互接続ができないという「相性問題」が多発していました。 最新機器を一箇所に集めて、即興のネットワークを作り上げて、この相性問題を検証してまおうというイベントがInteropです。
一般的に展示会というのは展示をして終わりですが、Interopはかなり特殊でした。 Interopの一番の楽しみは、展示会を見に来る人ではなく世界中の専門家が集まってネットワークを構築する作業に参加することなのではないかと思います。 未発表の最新機器が当たり前のように目の前に、ボコボコと置いてあり、その設定をいじったりできる楽しみは他では味わえません。
しかも、作るネットワークも普通ではありません。 昨年のネットワークは、幕張メッセの対外線として40Gbps回線1本/10Gbps4本とバックアップ用に10Gbps回線一本が用意されています。 さらに、使っているIPアドレスはクラスAです。 このクラスAのグローバルIPアドレスを持ったISPモドキが2週間だけ幕張メッセに登場します。 しかもIPv6ネットワークアドレスをInteropとして取得しています。 Interopというイベントのためだけに幕張メッセ内にISPを作ってしまうようなものです。
ただ、最大の楽しみがイベントを実行している人たちにあるというのは、展示会としてはあまり正しくないのかも知れないと、最近は感じるようになりました。 会社に就職し、Interopのボランティアメンバに参加できなくなった後は客として見に行っていましたが、客として見に行くと何がどのようにワクワクできる場所なのかが良くわかりませんでした。 運営者として参加しているボランティアメンバの知り合いに「今年の見所を教えて下さい」と言って、簡単に教えてもらって「へぇ」となりますが、一般の来場者は事前の情報収集を自ら行わなければならなくなります。 (まあ、会場でトランシーバーを持ってウロウロしている詳しそうな人に質問してみると実は恐ろしく詳しく説明してくれるという事もあり得ますが。。。) そのせいもあってか、就職後にInteropを知っていてそれを楽しい展示会であると思っている人は、まわりにいませんでした。 (今日書こうと思っているネタは「取材」に関してなので、Interopの詳しい話は、またの機会に書きたいと思います。)
取材
そのような事もあり、数年前から「もっと技術者視点で楽しさを伝えられないものかなぁ」とボンヤリと思い続けていました。 そして、これからブロガーとして独立してみようという思いも重なり「Interopを取材させてもらえないだろうか」という思いが沸々と湧いてきました。
先日、昔お世話になったInterop運営事務局の方に問い合わせて、自分の現状と取材をさせて頂きたい旨をお伝えしたところ、社内会議を開いて頂けました。 そして、現在はInteropの取材に向けて、少しずつ前進をし始めています。
Interopの取材とともに、お願いしたのが「面白い会社を紹介してください」という事です。 色々な試みを行われている様々な企業の方々の取り組みなどに触れてみたいという思いがありました。 また、イベントを手伝った事があるものとして、イベント会場のブースが組み立てられていく様子などを記事にしてみたいというのもありました。
CMPテクノロジージャパン(旧ソフトバンクフォーラム)の方から「取材費に関して検討しても良い」という非常にありがたいオファーも頂けたのですが、この一連の取材に関してはお断り致しました。 対価を受け取る取材と受け取らない取材では、大きな違いがあります。 対価を受け取る事によって、自分の中で無意識のバイアスを作るのも嫌だったのと、相手も対価を払っていないと思っている方がバイアスが無いのではないかと思ったためです。 あと、昔からの知り合いに取材に行く事も多くなりそうだったという側面もあるかも知れません。
なお、余談ではありますが、私はJobBuzzで対価を受け取る記事執筆もしています。 対価を受け取っている場合には、記事中にその旨を記述するようにしています。 また、対価を受け取っている記事からのリンクには全て「rel=nofollow」をつけるようにしています。
本人達にとっては「当たり前」になっている
以前、オーム社開発部の方の取材に行ったときに非常に強く感じたのですが、まわりから見ると「凄い」と思っている事でも、本人達は全然凄くないと思っている事が多いです。 「オーム社開発部での開発体制」
オーム社開発部の方々は、Schemeで本を構成するシステムを自作して運用したり、著者間でsubversionを使って原稿の共有をしていましたが「そんな話、興味示す人いるんですか?」というような感じに近かったと思います。 一方、私はその話を聞いて恐ろしくワクワクして、楽しくて仕方がありませんでした。
今後、このような「本人達にとっては当たり前だけど、外の人が聞くと面白い」内容を掘り出せたら嬉しいと感じています。 難しいのかも知れませんが。。。
取材は難しい
いや、でも取材って難しいですね。 今まで何も考えずに普通に読んでいたITMediaさんやCNETさんやGIGAZINEさんなどの取材記事は凄いと思います。 取材前に調べ物をして、質問を事前に考えて、先方に自己紹介をして、行ったことも無い会社に突撃するのは、やってみると非常に難しいということがわかります。 まあ、でも非常に楽しくもあります。 ワクワクしますね。
これから行く取材
実は、本日これから取材に行ってきます。 うまくいけば、明日記事を公開できると思います。 どこに行くかはお楽しみです。 いくら待っても記事が掲載されなければ、失敗したと思ってください。。。。
今回行く取材の経緯
今回行く取材は「ネット&モバイル通販ソリューションフェア2008(池袋サンシャインシティ)」で講演を行う企業です。 CMPテクノロジージャパンさんのご紹介による取材第一弾として、2月12日,13日に開催される同イベントの出展者/講演者から取材に行きたい候補を自由に選んで良いですよ、とのありがたいお言葉を頂きました。 そして、希望を出したところ、出展者/講演者企業との交渉を行って頂けました。 12日にイベントが開催される前に記事として書いた方が良いだろうということで、恐ろしいスピードで物事が進みました。 CMPテクノロジージャパンさんの機動力は凄まじかったです。。。
で、本日はCMPテクノロジージャパンさんで机をお借りして文章を書いています。 「そもそも、ネット&モバイル通販ソリューションフェアって何ですか?」という話を伺っていました。 色々と資料を頂き、概要も説明して頂いたのですが、最後に質問した「今回のイベントで苦労した点は何ですか?」に対する回答が面白かったので、それだけをここに書く事にします。 それ以外の概要は公式サイトをご覧下さい。
今回のイベントで苦労したところ
今回のイベントは最初という事もあり、なかなか出展してくれる企業が集まらなかったという苦労があったそうです。 Eコマースや携帯の業界ではInteropを知る人が少なく、ブランドを活かした営業ができないという面があったためであるそうです。 非常に苦労したので、悔しくなって来場者に対して恐ろしく太っ腹なイベントにしてしまったそうです。 確かに本来ならばお金が取れるぐらいセミナーが豪華です。
全てのセミナーが無料
全てのセミナーが無料でした。 通常、イベント会場でのセミナーは有料だというイメージがあるので、当初は私も無料だとは思いませんでした。 無料でセミナーを聴くには事前登録が必要であるそうです。 事前登録を行っていないと有料になってしまうのでご注意下さい。
なお、例えば、以下のようなセミナーがあります。 とにかく講演に力を注ぎまくったそうです。
基調講演
「日本テレビの通販事業の取り組み」
日本テレビ放送網株式会社 コンテンツ事業局次長(兼)コンテンツファンド事業部長(兼)通販事業部長 堀越 徹 |
Q&AによるCGMがマーケティングツールになる 株式会社オウケイウェイヴ 代表取締役社長 兼元 謙任 |
特別講演
モバイルECの今 −4度目の年末商戦を終えて、今後に向けて− 株式会社ディー・エヌ・エー ポータルコマース事業部 ECビジネス部 部長 栗山 規夫 |
特別講演
ネット、モバイルにおける今後のマーケティングソリューションとは? ngi group株式会社 代表執行役社長 CEO 小池 聡 |
特別講演
購買行動プロセスにおけるネット動画の可能性 株式会社Jストリーム 代表取締役会長兼社長 白石 清 |
時代はパソコン→ケータイへ。〜ケータイで賢く売るノウハウ紹介〜 株式会社ディー・エヌ・エー ポータル・コマース事業部 ECビジネス部 EC開発グループ 高杉 祐介 |
ドロップシッピング 勝利の方程式 モデレータ EC研究会(NPO/NGO) 代表 土屋 憲太郎 パネリスト 株式会社リアルコミュニケーションズ 代表取締役CEO 鈴木 秀則 パネリスト 株式会社もしも 代表取締役 実藤 裕史 パネリスト 株式会社ClubT 代表取締役 三宅 朝広 |
上記以外にも色々と面白そうなセミナーが無料でありました。 いくつかは満席/残り僅かになっていました。
モバイルコンシェルジェコーナー
モバイル総研とモバイルマーケティングソリューション協議会の協力によって、モバイル通販よろず相談所を設置したそうです。 メンバー構成は以下のようになる予定であるそうです。
- モバイル総研/モバイルビジネスコンサルタントの濱野浩衛、木暮祐一、木村 潤ほか/敬称略(予定)
- モバイルマーケティングソリューション協議会会員/株式会社シンクウェア:福永 充利、株式会社ゆめみ:原田 恵、富士フイルム株式会社:越智 修三、株式会社エム・シー・エヌ:田中 泉三、株式会社アイ・ウェイヴ・デザイン:門松 幸、株式会社ロックウェーブ、エイケア・システムズ株式会社、株式会社ディーツーコミュニケーションズ、グランドデザイン&カンパニー株式会社:井上 久子ほか/敬称略(予定)
よろず相談所という名目ではありますが、モバイルの場で活躍されている方々との名刺交換コーナーになってそうな気がしました。 面白そうな試みですね。
最後に
では、行ってきます。
追記:2008/2/7
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