政府はもっと釣りをすべし
「政府はもっと釣りをすべきだ」と主張する論文がCommunications of the ACMにありました。
NSFの助成金を受け取っている研究のようです。
この論文の中では、9月11日以降にアメリカ政府は少しでも悪用されそうな情報は全て隠してしまったが、隠すだけではなく、誰がどのようにそれを調べているかを解析して利用すべきだと主張していました。
言われてみれば当たり前のような気がしますが、面白かったです。
"What are people searching on government web sites ?",
Michael Chau, Xiao Fang, Olivia R. Liu Sheng,
Communications of the ACM,
Volume 50, Issue 4 (April 2007)
この論文はアメリカ、ユタ州Webサイトのアクセスログを解析したものです。 解析したのは2003年3月1日〜2003年8月15日です。
その中で、例えば「nuclear AND map (原発 AND 地図)」や「radioactive(放射能)」や伝 染病の名前などで検索をする人がいたそうです。 論文では、そのような検索行動をした人を追跡したわけでは無いので本当の意図はわからないと書いていますが、もしかしたらテ ロリストかも知れないとも書いてありました。
このような怪しい検索行動は非常に少数派なので、実運用では運用者側にアラートを出す検索単語を指定したり、特定のページが開かれたら監視を開始したりするシステムになるのではないかと予想してみました。 確かに、検索エンジン会社に検索キーワードを要求しなくても、全ての政府サイトで監視を続けていれば怪しい行動をとる人を探し出せるのではないかと思いました。 今後、そのような運用が増えるのかもしれないと漠然と思いました。
また、わざと嘘の情報を政府サイトで公開しておいてハニーポットのように誘い出すような作戦も出てくるのかもしれないと思いました。 既に展開されているのかも知れませんが。 さらに、偽の危 険物製造方法サイトなどを作り上げて、それを探し回る人をマークしたりするのかも知れないと思いました。 それを検索エンジンで上位に持ってくるための政府お抱えSEO会社が出てきたり、検索エンジン会社に特定の情報の順位を上位にするように命令するのかなぁなど、色々妄想は膨らみます。 そのようにマークされているサイトやページを知っている人が悪戯で2chなどにそのURLを貼り付けて、一般の人にそれを踏ませるということも発生するかも知れないですね。 昔から変わりはないのでしょうが、クリック一つで警察にマークされてしまうような日が将来来るかも知れないと思うと多少あれですね。
この論文の最後には、簡単に脆弱な情報を提供してしまわないようなバランスを保つのは難しいとも書いてありました。 また、危機管理以外の話も書いてありました。 例えば、時期によって検索回数が多いキーワードとして税務処理関連があるなどです。 面白い論文なので、是非読んでみてください。
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