掲示板運用者の法的責任

2006/7/4

総務省のサイトで「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書案」に対する意見募集 という発表がされていました。

その中で「電子掲示板の管理者等による自主的対抗に関する法的責任」という項目が面白かったのでとりあげてみました。 法的責任は「電子掲示板の管理者等が他人の掲載する情報を放置した場合の法的責任」と「電子掲示板の管理者等が他人の掲載する情報について送信防止措置を行った場合の法的責任」という二つが考察されていました。 それぞれ「刑事上の責任」と「民事上の責任」という2つの項目で考察されていました。

放置した場合の責任

結論としては、

検討の結果、電子掲示板の管理者等による自主的対応に関する法的責任については、単に違法な情報を放置したとの理由のみで、 刑事上、民事上の責任を問われることは通常は考えられず、また、 電子掲示板の管理者等が違法・有害な情報について送信防止措置を行った場合についても、 通常は刑事上、民事上の責任を負うことは考えられない、との整理がなされた。

と書いてありました。個人Blogにあてはめて考えると、Blogのコメント欄に違法なコメントを書き込まれてもBlog運用者が法的責任を負わないということだと思われます。

ただ、法的責任が問われる場合もあるようです。

電子掲示板の管理者等が、他人の掲載した違法な情報に関して刑事上の責任が肯定された裁判例は、いずれも電子掲示板の管理者などにおいて違法な情報の流通について積極的な関与が認められる事案であり、単に違法情報の存在を認識したが、これについて送信防止措置を行わず放置したことのみを理由として刑事上の責任が認められたものではないと解される。

したがって、現時点においては、電子掲示板の管理者等において、違法と思われる情報について単に送信防止措置を行わないというだけでは、他に特段の事由がない限り、刑事上の責任を問われるおそれが高い状況ではないと考えられる。

しかし、電子掲示板の管理者等として他人が掲載した違法な情報の流通に対してどの程度の関与があれば積極的な関与があるとして刑事責任が認められることになるかについて明確な基準が示されているものではないため、今後の裁判例の動向等を注視する必要がある。

と書いてありました。 要するに「積極的に関与しなければ法的責任は問われないと思うけど、積極的の定義が無い」という玉虫色な結論のようです。

削除などをした場合の責任

送信防止措置をすること自体に対して法的責任を問われるという発想は私にはかなり新鮮でした。 「書き込み禁止にしたな!訴えてやる!」とか「コメント削除したな!訴えてやる!」ということでしょうか。

こちらは民事上が契約がある場合、無い場合、などわかれていましたが民事上での結論に以下のような文がありました。

仮に、責任が認めらる場合でも、一般的に、電子掲示板への書き込みの削除については、金銭的に評価できる損害が発生しているとはいえない場合も少なくないと思われる。

そうですよね。。。

結論だけ書いてしまうとショボイ感じもしますが全部読むと結構面白いのでもしよろしければ読んでみてください。

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