NROがITUに反論

2013/8/7-1

最近、国連周辺でインターネットガバナンス関連の話題が多くなっていますが、IPv4アドレスに関連する議論が現在進行中です。

世界5地域のRIR(Regional Internet Registry)であるAfriNIC、APNIC、ARIN、LACNIC、RIPE-NCCによる組織であるNRO(The Number Resource Organization)が、ITU CWG(Council Working Group)への反論を発表しました。

NROの反論は、ITUのCWGに対するものです。

ITU CWGの掲げるIssueは3つあるのですが、今回NROが反論しているのはIPv4アドレスに関するIssue 2です。 Issue 2は、「現在未利用となっているレガシーIPv4アドレス」と「RIRを超えたIPv4アドレスの移転」を議題として提唱しています。

それに対するNROからの反論は、全否定のように読めました。 たとえば、「"未利用なIPv4アドレス"という表現が間違い。割り振り済みのIPv4アドレスがunusedであるかないかは不可能。たとえば政府用途など、インターネット上に経路が存在してないからといって全く使っていないわけでもない」とか、「世界の20%のIPv4アドレスが新たに使えるようになったとしても、IPv4アドレス在庫枯渇問題を3年先送りするだけにしかならない」といった反論が書かれています。

この他、「レガシーリソース(IPv4アドレス)を発展途上国に優先的に再配分すべきという意見があるが、現在、RIRの中で最もIPv4アドレス在庫が多いのはAfriNICである」という反論もあります。

RIRを超えたIPv4アドレス移転に関しては、「既に開始しているRIRもあるし、開始していないところも議論を既に行っている」と書いてあります。

この他にも、色々書いてあるので、興味のある方は是非ご覧下さい。

ITU CWGが掲げるIssue

ITUのCWGが掲げているissueは、以下のようなものです。

Issue 1: Consultation on effectively countering and combatting spam.
The Council Working Group on International Internet-Related Public Policy Issues invites all stakeholders to provide input on international public policy issues related to effectively countering and combatting spam.
Issue 2: Consultation on international public policy issues concerning IPv4 addresses.
The Council Working Group on International Internet-Related Public Policy Issues invites all stakeholders to provide input on international public policy issues related to (a) unused legacy IPv4 addresses, and (b) inter-region transfers of IPv4 addresses.
Issue 3: Consultation on developmental aspects of the Internet.
The Council Working Group on International Internet-Related Public Policy Issues invites all stakeholders to provide input on international public policy issues related to developmental aspects of the Internet.

NROが反論しているのはIssue 2のみですが、Issue 1とIssue 3も気になります。

Issue 1はspamに関するものですが、spamに関連する話題は昨年開催されたWICT-12でも議題としてあげられていました。 文言だけを見ると「spamと戦う」というのは、特に何かの問題があるようには見えません。 しかし、「spamとは何か?」を国家が決定することを考えると、「ある国家にとって都合が悪い内容は全てspamである」となる可能性があり、ネット検閲に都合良く利用される危険性が非常に高いと言えます。

Issue 3は、インターネットのポリシーに関して議論をするために多くのステークホルダーを呼び込むものですが、これまでの枠組みではなく、国連を主体としたインターネットガバナンスを模索する動きのようにも思えます。

ここら辺の話って、最近凄く増えているなぁと思う今日この頃です。

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