スノーデン事件がGoogle Public DNSに与えた影響

2013/11/11-1

いまや、インターネットトラフィック全体の25%がGoogleによるものであるという調査結果や、Googleがダウンしている間にインターネットトラフィックが40%減少したという記事があり、同社のインターネットにおける存在感は拡大し続けています。

Googleは、Google Public DNS(8.8.8.8)という、キャッシュDNSサーバの無償サービスも提供していますが、その規模を推計した調査結果がRIPE-NCCで発表されています。 この調査結果は、IPv4アドレス枯渇時期推測などを行っていたGeoff Huston氏によるものです。

インターネットにおける通信の大半が名前解決から開始されますが、多くのユーザに対してキャッシュDNSサーバを提供しているということは、Webとは全く関係がない通信を含めて非常に多くの通信がGoogleに依存するようになることでもあります。

発展途上国での利用が広がる

この調査は、ユーザが特定のURLに対してアクセスするような調査用コードをWebページに埋め込みつつ、権威DNSサーバに対してGoogleからDNS問い合わせが来たことを「ユーザがGoogle Public DNSを利用している」と定義しているようです。

2013年5月9日から26日までの間に行われました。 その調査期間で得られたデータでは、250万弱のクライアントのうちGoogle Public DNSを利用していたのは7.2%だったとあります。

それらのデータのうち国別でGoogle Public DNS利用率のランキングが同調査記事に掲載されています(サンプル数に偏りがあるので注意)。 たとえば、1位のベトナムは39.2%がGoogle Public DNSユーザです。 2位がジャマイカで27.5%、3位グアテマラ25.3%、4位ブルネイ20.0%、5位インドネシア19.0%と続きます。 同記事では、Google Public DNSの利用者が多いのは主に発展途上国であるとしています。

スノーデン事件とGoogle Public DNS

同記事の後半は、6月に発生したスノーデン事件の前後でGoogle Public DNSユーザ推移がどのように変化したのかに関しての考察です。

同記事は、米国NSA(National Security Agency)がGoogle Public DNSのデータにアクセスしているかどうかに関しての公開された資料は存在していないことや、そもそもGoogleがGoogle Public DNSによって得られたデータを何に使っているのかすら不明である点を指摘しています。

そのうえで、ブラジル国民のデータをブラジル国内に留めることを求めた法律が成立したことによって10月に同国からGoogle Public DNSが撤退したことを報じたRenesys Blogの記事(Renesys: Google DNS Departs Brazil Ahead of New Law)を紹介しつつ、スノーデン事件前後でのユーザ数の変化を紹介しています。

まず最初に全体的な数値が紹介されています。 全体を見ると、6月以降減少傾向だったユーザ数が11月に戻っているようにも見えます。

個別ネットワーク(AS単位)の変化も掲載されていますが、5月と11月を比べてGoogle Public DNSユーザが極端に減少しているのが、インド(62.4%)とパレスチナ自治区(46.9%)のASです。 同記事には明記されていませんが、この二つはISPが設定を変更したのだろうと思える数値だという感想を持ちました。

現時点では、Google Public DNSとNSAの関係を示す報道は存在していなさそうです。 とはいえ、スノーデン事件によってGoogle Public DNS利用者数に変化が発生したようにも思える調査結果でした。 RIPEの記事には、さらに詳しい情報が記載されているので、興味のある方は是非原文をご覧下さい。

最後に

RIPEの記事のまとめ部分は、Google Public DNSが高品質で無償なサービスであるとしつつも、TNSTAAFL(There ain't no such thing as a free lunch)という単語を交えつつ、そもそもGoogle Public DNSによって得られたデータを同社がどのように利用しているのかや、そのデータが米国政府に提供されているのかどうかなどが明かされていない、と警鐘を鳴らすようなものになっています。

多くのユーザにとっては、インターネットにGoogleが接続しているのではなく、Googleそのものがインターネットであるように感じるようになっていくのかもと思うことがあります。 「Google八分」というような表現が登場してから恐らく10年以上が経過していると思われますが、Google Public DNSユーザの増加を見ていると、多くのユーザがGoogleの判断(もしくは米国政府による同社への命令の可能性も?)によってDNSによる名前解決もできなくなるという状況を作ることも、技術的には可能になっているのだなぁという感想を持ちました。

RIPEで発表された今回の調査結果は、キャッシュDNSサーバというジャンルにおいてもGoogleが着実に存在感を増していることを示していますが、今後どこまで「Googleがインターネット」な状況に近づいて行くのかが気になりつつある今日この頃です。

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