IETF homenet co-chair, Mark Townsley氏インタビュー(11)

2013/5/13-1

Q: 4rdはどうですか?

4rdは良いと思います。

個人的には「4rd」という名称を選択できれば良かったと願っていました。 6rdと4rdで、意味がスッキリ通ります。 大好きな名称でした。

以前は、いかなるステートレスなソリューションも反対されてしまうという空気感がワーキンググループ内で支配的だった時期がありました。 「DS-Liteで十分だ。これ以上は必要ない。もう新しい移行プロトコルを作り続けるのはやめよう。」といった感じです。 当時のその判断は早計だったと私は考えていますが、それを突破するのにオペレータとベンダによる大変な労力が必要でした。

ワーキンググループ内で公式な活動を行うことが許されなかったため、各自が独自の方法を追究してしまいました。 そして、時間が経過すればするほどそれぞれの溝は深くなってしまいます。 マーケティング、実装、彼らの独自アイデアに対する投資が既に積み重なってしまうからです。

こうやって、MAP-E、MAP-T、4rd、dIVIなどが出てきました。 ほぼ同じようなものに対して味付けが違うだけです。 互いに協力して歩み寄ることができず、後に大きなバトルになったのは自然な成り行きです。

4rdはexperimentalもしくはinformationalなドキュメントとして残るでしょう。 MAP-Tも同様です。 dIVIとIVIも何らかの形で残るかも知れません。

ありがたいことに、IETFはMAP-Eをstandards trackにすることを決断しました。

Q: コイントスですか?

ええ。コインを投げました。 あれは最高でした。

時として、完璧な選択肢を追い求めるよりも、何かを決断することの方が大事な場合があります。 その時点で各提案の差は微少なものになってました。 二つの違いは1%ぐらいという感じです。 もう決断をした方が良い状況でした。

決断ができて良かったと思います。 「MAP」という名前は個人的には好きではありませんが。 「4rd」という名前の方が好みでした。 Remi Despres氏のために、彼の方式が採用されれば良いとも思ってました。

4rd-uに入っている各種オプティマイゼーションですが、あそこまでは必要ないと私は思います。 あれは素晴らしい成果だと思いますが、どの時点でオプティマイゼーションをやめて出荷しはじめるかですね。 DS-Liteは、その判断が早過ぎました。 Lightweight 4over6でさえ早過ぎました。 もう一度やり直せるのであれば、それらをやらずに一気にいまMAPとしてあるものに向かいたいです。

非常に大きな成功のひとつが、MAPアルゴリズムに合意できたことです。 みんなで合意できて嬉しく思います。 いまでは、マッピングアルゴリズムが一般的なものになりました。 その後に残ったのが、パケットをどのように整形するかに関しての美人コンテストでした。 既に十分美しいものに関して、さらに細かい部分で言い争っている感じです。 アルゴリズムマッピングは素晴らしい成果ですが、もとをたどればSAMになります。 Remi Despres氏によるStateless Address Mappingです。 6rdもですが、あれは彼の才気溢れる発想でした。 そして、結果的にそれがMAPになりました。

そこが本当に重要な部分だったのですが、IETFで何かを動かすには細部を詰める必要性が出て来てしまいます。 時として、それがストレスの溜まる作業になります。

(続く:次へ)

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