違法ダウンロード刑事罰化と日本のインターネットトラフィック

2012/10/1-1

2012年10月1日に、違法なものと知りながら音楽や映像をインターネットからダウンロードする行為に刑事罰が適用されるようになる改正著作権法が施行されました。 2010年1月1日に施行された改正著作権法で、ダウンロードが違法化されましたが、当時は罰則規定がありませんでした。 今回の施行では、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金という刑事罰が追加されています。

2010年1月1日の施行は、日本国内におけるインターネットトラフィックを激減させ、日本のインターネットに非常に大きな影響を与えた可能性が指摘されています。 今回の改正著作権法も日本国内のインターネットトラフィックに大きな影響を与える可能性があるのではないかと推測していますが、とりあえず2012年10月1日午前時点での状況を見てみます。

2010年の改正著作権法施行でトラフィック激減

2010年1月1日の改正著作権法施行時に、日本国内のインターネットトラフィックが激減しています。

それまで、日本国内のインターネットトラフィックは常に増加し続けていました。 たとえば、P2Pに関連してた逮捕があったなどの報道など、何らかの事件の反応として一時的にトラフィックが大きく減ることはあっても、減少傾向が続いたまま維持されることはなかったので、2010年1月の変化は大きなものであったと言えます(詳しくは、2010年に書いた「改正著作権法と日本のインターネットトラフィック」をご覧下さい)。

以下の図の赤線部分が2010年1月1日です。

今回はどうだろう?

まずは1週間ぐらいは様子を見た方が良いとは思いますが、違法ダウンロード罰則規定追加の影響と思われる現象が早速インターネットトラフィックに現れているようにも思えます。

たとえば、JPNAPにおけるトラフィックで見ると、1週間前、2週間前(ただし2週間前の月曜日は祝日)と比べて大幅に少なくなっているようにも思えます(JPNAPが公開しているデータは1週間前と2週間前の値もわかりやすく表示されています)。

なお、休日にも関わらず昨日のトラフィックが多いのは、恐らく台風の影響だろうと推測されます。 なので、単純に昨日と比較して「休日よりも少ないので、激減しているに違いない」という推測は現時点では難しいのではなかと思います。

JPNAP東京I

JPNAP Tokyo-Iを見ると、2週間前(月曜日12時時点、黒い線)と比べて約60Gbpsほど少ないように見えます。 1週間前(薄紫色の線)と比べると午前10時から12時ぐらいは、今日のトラフィックの方が多いのですが、1週間前の10時時点で急激に減って12時時点でトラフィックが戻っているのを見ると、その2時間は例えば経路が大幅に変わったなど「何かがあった」可能性を感じるので、そのまま比較しない方が良さそうです。

JPNAP東京II

JPNAP Tokyo-IIを見ても、今日はトラフィックが少ないように見えます。 JPNAP Tokyo-Iと縦軸の粒度が異なりますが、1週間前(薄紫色の線)、2週間前(黒い線)ともに本日よりもトラフィックが多くなっています。

JPNAP大阪

JPNAP大阪も1週間前、2週間前ともに本日よりもトラフィックが多くなっていますが、こちらでの差は他の2箇所よりも小さめで誤差の範囲内のようにも見えます。

最後に

今回は、2010年1月1日に発生した変化に近い変化になるのでしょうか?

今回の罰則規定追加に関連して、警察による摘発がタイムリーに行われるかどうかによっても、今後の傾向が大きく変わるような気がします。 i.e. たとえば今週中など、タイムリーに大規模摘発のニュースが全国で放映されれば、日本国内のインターネットトラフィックも大きく変化する可能性が高そうです。

統計的に見て日本国内インターネットトラフィックがどうなったかに関しては、来年前半に公開されるであろう総務省の「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」でわかるものと思われます。

改正著作権法の一部施行に関する参考リンク

インターネットトラフィック関連過去記事

追記:1日23時頃の状況



追記

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