金額の報道は効果的に怒りを煽る

2012/4/5-1

「首相官邸ホームページ」のリニューアルが話題です。

発端は「首相官邸ホームページ、4500万円かけリニューアル - MSN産経ニュース」だと思いますが、それに対して非常に多くの怒りがネット上で表現されています。

一方で、以下のような反論もあります。

数としては怒りの表明が多数派であるように思える一方で、今回はネット上で上記記事と同じような考え方が結構あるようにも見えます。

私はGoogleで「site:kantei.go.jp」や「site:www.kantei.go.jp」というキーワードで検索してヒット件数が10万件を越えていたので、「凄いページ数だなぁ」と思いつつ、どこまでが4500万円の範囲内なのかわかりませんでした。 探せば入札のための公開資料があるのかもしれませんが、今のところ特に詳しく探したりはしていません。 リニューアルが適正な価格だったのかどうかや、実際のリニューアルの質等に関しては、これから色々と事実が判明したりして色々と情勢が変わったりする可能性もあると思われます。

煽りの要素

で、ここで言いたいのは金額が適正かどうかとか、そもそもリニューアルは必要だったのかどうかという点ではなく、今回の報道は「金額を示しつつ詳細は伝えられていない報道は効果的に怒りを煽ることができる」という事例だという感想です。

ソーシャルメディアが普及した昨今では、どういった情報が広がりやすく、どういった情報が広がりにくいのかという視点で見ると色々と興味深いです。

今回の報道に限らず、金額を紹介している記事は色々あります。 良くあるのが何らかの事件などによって注目された組織に所属している人々の給料です。 それに対して「こんなひどいのに、そんなに給料をもらってるのか!」という怒りが多く発生しがちです。 研究開発に関する予算も同じような構造がありそうです。

昔は特に気にせず記事を読んだり、「○○の給料ってそんなに高いんだ。ひどいな」という感想を持ったりしていたのですが、最近は金額を前面に出している記事を見ると「この話題は結構拡散しそうだ」と思うようになりました。 特に強くそう思うようになったのは、2009年にレッシグ教授のエッセーを読んでからです(参考:「透明性」って本当に副作用が無いの?)。

情報発信のノウハウとして「人々を煽る」という手法も色々あるということを最近良く思いますし、ネット上で爆発的に広がりやすいデマを見ていても「効果的に煽る手法」が要素として含まれているデマは、いわゆる「拡散」が行われやすい傾向があるような気がします。

ということで、ネット上で人々を煽る効果的な手法を特化して研究すると色々新しい発見がありそうだと思いますし、そうった論文があったら読んでみたいです。 セキュリティを確保するためにはそれを破る手法をとことん研究するという手法があるのと同じような感じで、「どうやって煽ると効果的か」というのは今後凄く重要な課題になりそうだと考えています(そのノウハウの塊である場所が色々存在してそうな気はしますが)。

関連

最近のエントリ

過去記事

過去記事一覧

IPv6基礎検定

YouTubeチャンネルやってます!