IPv4アドレス66万個が750万ドル。マイクロソフトがNortelから

2011/3/30-1

先週、IPv4アドレス売買に関しての話題がありました。 Chapter 11を申請したNortelのIPv4アドレス66万6624個が競売にかけられ、マイクロソフトが750万ドルで応札したというものです。 マイクロソフトがIPv4アドレス一つあたり11.25ドル支払うというものです。

4月4日まで異議申し立てが可能であるため、まだ売却は決定はしていませんが、IPv4アドレス売買が現実の物として動き始めていることを実感させられるニュースです。

マイクロソフトが転売のためにIPv4アドレスを購入することは考えにくいため、恐らく今回購入されたIPv4アドレスブロックが再び売られることはなさそうです。 他の組織であっても、IPv4アドレスは使い続けるために取得しているものと思われるため、活発に売買されるというよりも、企業の破産やChapter 11に関連したIPv4アドレス売買が多そうな気がしています。

今後、巨大な資金を持たない人がIPv4アドレスを持つサーバなどを自前で構築することが困難になるという状況が思っていたよりも急速に進むのかも知れません。 i.e. 自前でIPv4アドレスを確保しづらくなる一方で、ユーザの多くがIPv4を利用し続けるという状況が続くので、「クラウド」事業者にお願いする以外の方法でのサーバ構築が難しくなるのかも?

ところで日本からアメリカのIPv4アドレス移転って受けられるの?

日本が所属しているAPNICは、アメリカが所属しているARINとは別のRIRです。 IPv4アドレス売買とは、事実上の金銭取引を伴うIPv4アドレス移転です(RIRの規定に「IPv4アドレス売買」というものはありません。あるのは「IPv4アドレス移転」だけです。)。 そのため、IPv4アドレスの移転が許可されていない「IPv4アドレス売買」は、「ブラックマーケット」ということになってしまいます。

RIRを跨いだIPv4アドレス移転そのものは、2月に行われたAPNIC 31ミーティングで認められました。 しかし、以下の理由により、現時点では事実上アメリカにあるIPv4アドレスを日本へと移転することはできないようです。

以下、「JPNIC News Views vol.829【臨時号】APNIC 31ミーティング報告 [第1弾] アドレスポリシー動向」より

====================================================================== ●IPv4アドレスの移転 ====================================================================== <今回コンセンサスの得られた提案> ・prop-095 Inter-RIR IPv4 address transfer proposal ・prop-088 Distribution of IPv4 address once the final /8 period IPv4アドレスの移転をAPNIC地域内に限定せず、APNIC地域との移転を認める RIRとの移転が、以下の条件で認められることになります。 移転元:移転元RIRが定義する移転要件に従う 移転先:移転先RIRが定義する移転要件に従う 当初に提案されていた要件は、移転元、移転先どちらも、移転元RIRの移転要 件に従うとしていましたが、「移転先で定義している移転要件とのすみ分け が難しい(*2)」「結果として移転元、移転先の両RIRの移転要件を適用するこ とになる」等の理由から支持されず、上記要件でコンセンサスが得られまし た。 またこの議論では、APNICでは移転を認めても、他のRIRがAPNICとの移転を認 めるのか、という点の確認も行われました。現時点でARIN地域で提案されて いるRIR間の移転を認めるポリシーでは、移転時にアドレスを効率的に利用し ているかどうかの確認を実施していることが条件として定義されています。 この条件を前提に、ARIN地域でのRIR間の移転を認めるポリシー提案が通った 場合、APNIC地域では移転時の効率的利用の確認を実施していないため、実質 的には、ARIN地域とAPNIC地域間の移転は認められないことになります。 こうしたARIN地域における議論も考慮し、ARIN地域との移転が実質的に認め られるよう、RIR間での移転を認める提案と併せて、APNIC地域での移転時に おけるアドレス効率の確認を、APNIC在庫枯渇前と同様に在庫枯渇後も継続す る提案も行われました。しかし、移転時の利用確認を条件とすることが正式 な手続きを経ない移転につながり、移転結果もデータベースに反映されなく なるのではとの懸念が強かったことから支持されず、結果的には継続議論と なりました。 (*2) 移転元の要件を適用するとしながらも、実質的には移転先組織は、移転 先で定義している移転要件も適用されることが想定され、その場合移転 元、移転先それぞれで定義している要件のすみ分けが難しい。

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