メーリングリストに投稿しにくい

   このエントリをはてなブックマークに登録    2010/6/23-1

とあるメーリングリストで2週間ぐらい議論が続いています。 その議論のノリが昔のfj(*)を彷彿させるようなものであったこともあり、オフラインで知人にあったときの雑談や、Twitter上で、そのメーリングリストを脱退しようかと迷っているという話をチラホラと見聞きしています。

(*) fj: NNTPを用いたバケツリレー式掲示板システムである、ネットニュースの1グループ。fjは、(From Japan)の略。

私は別に興味が無い議論だったので詳しくは読まずにメールだけ受け取る日々が続いていたのですが、色々な方々が辟易しているのは何故だろうと色々考えていたら、根底にはメーリングリストへの投稿のし難さがあるような気がしてきました。 去年、「お呼びであるかないか」という記事を書いたのですが、そのような感じで「自分の発言はお呼びではないのかも」と多くのユーザがメーリングリストへの投稿を躊躇していることこそが、長い議論でユーザが辟易する状況を間接的に作っているのではないかという考えです。

アメリカのメーリングリストを見ていると、本当にどうでも良い質問や、やりとりが普通に行われています。 酷いのになると、数千人、数万人登録者が居るだろうと推測出来るメーリングリストで堂々と「就職したいんだけど」というような質問をする人が出現したりします。 恐らく、これはメーリングリストなどのオンラインの場だけではなく、リアルな現実世界でも同様な気がしています。 たとえば、学会や会議で、超権威な人物に対してド素人がアホな質問をしている状況に遭遇したことがあります。

日本では、恐らく「なめてんのか?」とか「発言すんなバカ」で終わってしまう世界だろうと思うのですが、アメリカのメーリングリストでは普通に答えていたり、生暖かく貶してたりします。

たとえば、NANOGの今月のメールで言えば、以下のような質問(pls help about mtu setting)に対して、

Hi

My DSL company asks me to set the modem 146 2 and my old company used 14 92

What is the different?

Why it is not standard 1 500?

Thank you

「ググレカス」と、やんわりと「google (or any search engine) is your friend.」といいつつ検索URLを提示する一方で、二人が親切に教えていたりします(回答1回答2)。

その他でも、たとえば、以下のように「複数のネットワークを接続したいんだけど、良い書籍を教えて」というような質問メールもあります。

Hi Folks,

I'm searching an fundamental book about how to (inter)connect two networks. It should be about how to connect your business network in a secure and reliable way to the internet. The book should contain some theoretical basics and common used practices. Focus is how to design such an network transfer point.

Does anyone know such a book?

コレに対して、「この本がイイよ」という回答があり、質問者がそれに対して「いや、その本はいいんだけど、セキュアに通信をしたいんだ。助けて。」と、さらに質問しています。 それに対しては、「通信そのものをセキュアにするのは、セキュリティのごく一部でしかないよ。たとえば、SQLインジェクションとか。エンドポイントも忘れないようにね。」と別の人がたしなめています。

非常に不思議なのは、誰も「そんな下らねぇことメールするんじゃねーよ」と言わないことです。 このような質問メールが日本国内の巨大メーリングリストに投稿されたら、恐らく「ここはそういうところじゃないから」という説教メールが待っています。 日本語メーリングリストでは良くみるのですが、不思議なことに「メーリングリストに対して何をメールしてはいけないか」という議論を英語メールでは、あまり見ません。 アホな事を言った人に対して生暖かい嘲笑メールでバカにされることはあっても、「メールすんな消えろ」とは言われないという状況です。

話は日本の某メーリングリストに戻りますが、恐らく、多くの人が辟易する議論が続くことそのものは、あまり大きな問題ではないのだろうと思いました。 きっと、それ以外のノイズ的な雑多な議論が存在せずに、ほとんどトラフィックが存在しないメーリングリスト上で「その議論だけ」が2週間も存在しつづけているからこそ、辟易している人がいるのではないかというのが私の推測です。

何か、こう考えると、日本の文化というかコミュニティというかは、オープンで雑多な議論には向いてないのかも知れません。 ということで、アメリカでのWeb2.0的な情報収集や情報共有モデルというのを、そのまま他の国に持って行けるものではなく、様々なローカライズがあるのだろうなぁという考えになってきました。 Wikipediaの記事の傾向が英語版と日本語版で全然違うという話も各所で見ますが、そういった文化的というか、コミュニティ形成方法の違いというのが影響してるのかもと妄想しました。

だからといって「日本は駄目」という話をしたいわけではありません。 きっと、そういうのにはデメリットとメリットがセットであるはずで、それぞれの国独自で「何か」が育つんだろうと思います。

まあ、何が言いたいかというと、巨大メーリングリストにメールを投稿する度胸が無い私は、度胸が無いんだなぁということでした。

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