ビデオとモバイルというインターネットの「トレンド」
先日、モバイル端末と従量課金ネタが盛り上がっていましたが、その背景にあるのは、スマートフォンなどによるモバイル利用増加、それによるモバイルトラフィック増加、インターネット全体としてのビデオトラフィック増加だろうと思います。
2014年にはモバイルトラフィックは2009年の39倍に
2010年2月に発表された「Cisco Visual Networking Index: Global Mobile Data Traffic Forecast Update, 2009-2014」では、モバイルデータトラフィックが毎年倍に増え、2009年から2014年までに39倍へと増えるだろうと推測しています。 さらに、そのモバイルトラフィックの66%はビデオだろうとしています。
Akamaiデータで見るモバイルトラフィック
Ciscoのホワイトペーパーは未来を予測するものですが、現時点のデータからモバイル端末の普及が急激に進んでいることを知る事も出来ます。 Akamaiが四半期毎に発表している「State of the Internet Report」の2009年第四四半期レポートでは、日本や韓国の平均的な通信速度が"低下"しています。
Akamaiのレポートでは、韓国の平均速度低下はモバイル端末が有線の光ファイバなどよりも通信容量が小さいために平均値が下がってしまったという現象であると解説されています。 その解説では、韓国の平均通信速度が2009年4Qで24%下落すると同時に、特定のモバイル事業者によるユニークIPアドレスの急激な増加を観測したことから、2009年11月に韓国でAppleのiPhoneが発売されたことが数値に影響を与えているとしています。
今回のAkamaiレポートで上位10国の中で平均速度が韓国とともに低下した結果2位の座を香港に明け渡す形となった日本に関しては、低下の理由が明記されてなさそうですが、個人的には日本の速度低下も韓国と同様にモバイル普及という傾向があるのではないかと推測しています。
このような急激な変化をうけて、AkamaiのThe State of the Internet Reportの2010年第一四半期版ではモバイルデータは別項目として扱われるそうです。
2010年のビデオトラフィックは約40%
次に、インターネット全体としてのビデオトラフィックの増加についてです。 Cisco Systemsが2010年6月2日に発表した最新の「Cisco Visual Networking Index:Forecast and Methodology, 2009-2014」では、2014年のインターネットトラフィック総量は2009年の約4倍になると推測しています。 2009年のインターネットトラフィック増加は45%で、2014年まで毎年約34%ずつ増加すると予測されています。
2009年のP2Pを含まないビデオトラフィックは、全体の1/3であり、2010年の終わりには40%に近づくそうです。 さらに、P2Pの中身も主にビデオトラフィックであると仮定したときの合計ビデオトラフィックは、2014年にはインターネットトラフィック全体の91%になると推測しています。
このように、かつてない勢いでビデオトラフィックが急激にインターネットトラフィックを占有しはじめています。
最後に
このように、急激に増加しているビデオトラフィックですが、このビデオトラフィックは今後インターネットインフラに多大な影響を与えそうです。 どのような影響がありそうかに関しては、また別途書く予定です。
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