テレビとネットの協調

   このエントリをはてなブックマークに登録    2010/11/8-2

11月3日に行われた第58回全日本剣道選手権大会のUstream中継を行ってきました。 この試みは、個人的には色々とドキドキしながらやっていたのですが、結果として「テレビとネットの協調」に近い状況が実現できたのではないかと思えました。

視聴率5.4%

第58回全日本剣道選手権大会のUstream中継は、2会場で行われた全試合を2つのUstreamチャンネルから同時に放送していました。 NHK総合では16:00-17:30の予定で放送されました。 そのため、準決勝や決勝を含む16:00以降の試合は、NHK総合とUstreamでの同時放送となりました。

そのような状況下で行われた今年のNHK総合での放送は5.4%という異例の視聴率になりました(参考:「fujitv:上田昭夫のひとりごと」)。 全日本剣道選手権大会としては、恐らく最近数年で最も高い視聴率だったと思います。

今回の事例は、「Ustreamで平行して放送してもテレビ視聴率が激減するわけではないかも」という事例になるのかも知れないと個人的に思いました。 (ただ、他の競技団体が同様のことをしようと思っても、NHK以外の民放では、Ustreamとテレビ放送の同時進行は難しそうな気もします)

なお、2007年からの全日本剣道選手権の視聴率は、2.2%(2007)、3.7%(2008)、4.1%(2009)と全剣連がWebに注力し始めてから徐々に上昇しているようにも思えます。 去年の第57回全日本剣道選手権大会は、史上初の「満員御礼」でしたが、今年は去年よりも多少来場者が増えたようです(ただし、無料券や安い券による入場者の割合が増えたので金額的には増えていない可能性が高いです)。

Web上での放送や情報公開をバンバン行うと来場者が減るという状況が発生したら次の企画が提案出来ないとドキドキしながらのUstream放送でしたら、何とか結果が出てメンバー内で安堵の声が出ていました。

Ustream視聴 → NHK視聴の流れ

ピーク時に約4500人のUstream視聴者はNHK総合での放送が開始すると同時に半減しました。 16:00以降は、Ustreamの映像に「NHK総合で放送中」と記述を入れ続けたことで、NHK総合の放送開始に気がついたユーザも居たようです。

Twitterや2ch等で当日午前中にUstream放送を知って大会中継を見始めたユーザもかなり居たと思われる事を考えると、Ustreamでのネット放送は、NHK総合での放送開始までのお膳立てに近い状態だったのかも知れません。

今回は、全剣連が各種ソーシャルメディアを駆使して中継したこともあり、剣道とは関係がない方々も参考のためUstreamを見ていたようです。 さらに、過去に剣道をやったことがあるIT業界関係者が懐かしくなって見ていたという事例も多いように感じました。 そのような状況で、Ustreamでの放送は知っていても、NHK総合で放送されることを知らない視聴者もいたように思えます。

Ustreamの方が早くて奇麗な瞬間も

第58回全日本剣道選手権大会はNHK総合と平行してUstreamで中継を行っていたのですが、ネット上でUstreamとNHK総合を両方同時に見ている視聴者が地デジでSD放送時に「Ustreamの方が品質が高い」と言っているのが面白かったです。 (早慶戦が延長になり、マルチ編成でSD放送が行われていたためです。HDに戻ってからはテレビの方が格段に奇麗だったと思います)

あと、「テレビよりもUstreamの方が結果が微妙に早いので、テレビ放送を見ながら一本が決まる瞬間が事前にわかる」という意見もありました。 テレビの中継を衛星経由で行っていれば、通信を行う「距離」は太平洋を越えてアメリカに行って帰って来るよりも長くなるので、通信距離としてはテレビの方が長くなることや、編集のためのバッファが入る回数が多いので、テレビの方が微妙に遅い可能性は十分ありますが、実際にそういう状況に遭遇すると興味深いものです。

最後に

今回のネット中継は、結果的にマイナス効果が発生しなかったようみ見えたので安心しました。 「ネットで流したからNHKでの視聴率が下がった」とか「ネットで流したから来場者が減った」という結果がモロに出てしまうと、今後、同様の企画が通らなくなってしまいます。

「テレビのネットの協調」というフェーズを使うと、「ネット」の部分は一般ユーザを指すことが多いのですが、競技団体が主体的に「ネット」を活用することで、多くのネットユーザと協調しながら結果的に「テレビとの協調」という状況を作れるのではないかと考え始めました。

とはいえ、今回のNHK総合での視聴率上昇の実際の理由は、恐らく誰にもわかりません。 早慶戦から連続して同じチャンネルを見続けた人が多かっただけか、宮崎先生による解説を聞きたい人が多かったのか、武士道シックスティーンの効果なのか、龍馬伝の効果なのか。。。可能性を考えると色々あります。 今後も色々な事例が登場して、何となくの「雰囲気」が出来上がって行く必要がありそうだと思う今日この頃です。

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おまけ


会場風景

放送局の機材とスタッフは、やっぱりハイレベル

もう一つの「プロの現場」。剣道写真は異常に難易度が高い。。。
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