IIJ外気冷却コンテナ型データセンター実験に見る和製クラウドの未来

2010/8/23-1

IIJ外気冷却コンテナ型データセンター(正式名称は「モジュール型エコ・データセンター」)のブロガー見学会に参加してきました。 外気冷却コンテナ型データセンター実験そのものは、直接的に「クラウド」と関連があるわけではありませんが、実際は無関係ではないという感想を持ちました。

「クラウド」という単語は何を範疇としているかが曖昧であり、全体的に良く意味がわからないので好きではありません。 しかし、「クラウド」というキーワードが普及するにつれ、「クラウド」を前提としつつ、日本におけるデータセンターも大きな変化をしはじめるのかも知れません。

国内における多くの「クラウドサービス」は、従来型のデータセンター内にハードウェアを用意したうえで、VMWareやHyper-Vなどの仮想化ソフトウェアを利用してユーザに仮想化された環境を提供するという印象が個人的にあります。 IIJにおける取り組みは「その次」に各社が向かうであろう「クラウド」を前提とした価格競争への方向性が垣間見えるものでした(個人的な感想としては、今回の見学会がたまたまIIJさんだったというだけで各社似たような取り組みをしているのかも知れないとは感じました)。

例のごとく、今回の記事もクソ長いのでご注意下さい。 読むのが面倒な人のために最初に個人的な視点を書くと、「クラウド」→「人が入らない前提」→「コスト削減」という感じです。

コンテナ型データセンター

IIJが実験を行っているコンテナ型データセンターは、以下のような形をしています。 外部からは、前面に関連する企業ロゴが描かれたコンテナ部分と、TOSHIBAと描いてある空調部分が見えます。

今回のIIJが実験を行っているコンテナ型データセンターは、ISO規格のコンテナでは無いそうです。 そのため、今回の実験で利用されているものをIIJではコンテナ型とは言わず、モジュール型と呼んでいるとのことでした(しかし、面倒なのでこの記事内では「コンテナ」と書いちゃってます)。


IIJ堂前氏

ISO規格のコンテナは幅が狭く(幅8フィート,2438mm、高さ8フィート6インチ,2591mm、奥行きは20フィート6096mmと40フィート12192mmの2種類)、内部に設置できる機器に制限が出てしまうので、今回の実験専用に作られたコンテナが利用されています。

このコンテナは幅3000mm、高さ3000mm、奥行き8000mmで、NLM ECALによって製作されています。 NLM ECALは、電力用や携帯基地局用に以前からコンテナを作成していますが、今回のデータセンター用コンテナ製作では従来とは異なり床加重などに気をつけなければならなかったそうです。

背面は次のような感じになっています。

IIJのコンテナ型データセンター実験は昨年から開始しており、各種メディアでも記事が出ています。

IIJのWebサイトでも、以下のようなプレスリリースが出ています。

さらに、詳細な内容が毎月刊行されている「IIJ.news」の8月号に掲載されています。 IIJ.newsは、IIJが発行している定期刊行紙で、IIJ本社などに行くと置いてあったりイベントで配布されたりしていますが、PDFも公開されているので電子的に読む事も可能です。 今回のコンテナ型データセンターに関する具体的で詳細な内容を知るには、私のブログを読むよりも IIJ.news vol.99 8月号を読んで頂く方が良いと思います。

IIJ.news vol.99 August 2010

数日前に、YouTubeで動画も公開されました。

なお、動画で見るコンテナ型データセンターと、実際に現場で見たコンテナ型データセンターでは空調システムが違いました。 試行錯誤の過程として、空調システムは一度全て取り替えたそうです。

外気冷却を活用してPUE 1.1〜1.3を実現

IIJコンテナ型データセンターは、次のような形になっています。 冷却された空気がコールドエリアへ送られ、空気がラックを経由してホットエリアへと流れます。


IIJ.news vol.99より

実験では、通常状態でコールドエリアの気温が約25度、ホットエリアの気温が約35度となっています。 天井を密閉することで、コールドエリアからホットエリアへの空気の流れは全てラックを経由するようになっているのが特徴的です。

(続く:次へ)

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