Twitter = Social Networking Platform, Social Marketing Platform?

   このエントリをはてなブックマークに登録    2009/7/31-2

TwitterをSNSと対比したり、場合によってはSNSであると紹介されたりします。 人と人との繋がりが関連するコミュニケーションツールという意味では、SocialなNetworkは確かにTwitterと関連がある概念です。

個人的に使っていて、TwitterほどSmall World Phenomenon(スモールワールド現象、6ホップあれば世界中の誰にでもいきつくという話)を実感させるWebサービスも珍しいです。 mixiもそういう側面はありますが、Twitterはコミュニケーションモデルがライトな分だけ偶然の発見も多い気がします。

「あ、この人とこの人、知り合いだったんだ。。。」という感じですね。 元々は知り合いでは無かったのは知っていても、自分を経由していつの間にかオンライン上で会話を始めているということも良くあります。

これは何故なのか?という疑問点から開始して、色々考えてみました。

1. SNSは新しい出会いを作りにくい

個人的な感想としては、mixiのような形態のSNSは、新しい出会いを構築するツールとしては使いにくかったです(出会いというのは男女の出会いではないのでご注意下さい)。

SNSは、既存のSocial Networkを可視化するものであったため、互いに結びついたユーザ同士のリンクは非常に強固です。 言い方を変えると、強い内輪リンクの集合体です。

強い内輪リンクによって構成されるクラスタと紹介制/会員制/パスワード保護などによる排他性は、Social Networkを拡充するためではなく、既存のクラスタを外部から守るという設計です(本来はSNS=パスワードなどではないのでご注意下さい)。 Networkingではなく、Networkですね。

Orkutなどが登場し始めた当初は、転職活動や人脈作りに関して注目されたSNSですが、結果を見てみると現実世界の人間関係を電子的に可視化したという側面が強い、排他的なグループ形成ツールだったのかも知れません。

2. Social Networking Platform

SocialなNetworkを可視化するSNSとは逆に、TwitterはSocialなNetworkingを行うためのプラットフォームのようなイメージがあります。 内輪に固まることも可能ですが、全く知らない相手でも一方的に見るだけという事もできます。 最初から特定の人を知り合いであろうがなかろうが勝手に見て、人物をコンテンツとして消費しつくすようなものなのかも知れません。

そして、ブログと違って各投稿の出力速度も早いのでチャットのような脊髄反射も行えます。 その過程で「人間味」がブログよりも色濃く出るので、バーチャルな「知り合い」という感覚を構築するには都合が良いのかも知れません。

私はTwitterを「バーのカウンター」に例える事があります。 隣の集団の会話があまりに楽しそうなので乗り込んで行って、いつの間にか知り合いになっているような感じでしょうか。 Twitterだと、リアルで飲んでいるところに割り込むよりも自然だという手軽さはありそうです。

自分自身のTwitterアカウントがバーカウンター(i.e. 自分がバーテンダー)というアナロジーを採用したとして、 Twitter上で「あちらのお客様からです」とダンディに言えるシチュエーションてどんな時ですかね?

3. バーチャルな知人からリアルの知人へ

最初はバーチャルでも、その後オフ会や勉強会で実際に会う事を重ねて行けばリアルな知り合いへと変化していきます。 私の人生初のオフ会はTwitter経由でした。 それまで一度もオフ会に参加した事はありませんでしたが、Twitterで会話することによって「会ってみましょうよ」となり、その後リアルで何度も会うようになった人もいます。

なお余談ですが、自分が見るだけという状態が可能ということは、自分も不特定多数の知らない人に見られる事を意味しています。 mixiは「安全ですよ」といいつつ実は危険を含んでいる一方で、Twitterは「地雷だらけですよ」といいつつユーザがドキドキしながら使う感じですかね。

4. 35〜49歳が半数?

Twitterの利用者の半数は35歳〜49歳であるという調査結果がありました。

ITMedia: Tumblrの国内UU拡大 Twitterは35〜49歳が半数

個人的には、この事は非常に納得ができます。 例えば大学のサークルなどに所属しているような若者は、自分の周辺の友達と一緒に居る時間が大事であり、知らない他人と仲良くなる目的意識は低いと思われます。 「何で知らない人と話さなきゃいけないの?」と言われれば、その通りです。

一方で、30歳以上が多いというのは人間関係への渇望もあるのかも知れません。 学生時代のような濃厚な友人関係とか、下手な利害関係に気を使わない人間関係を懐かしく思いつつも、現実世界ではそれを求めにくいので、オンラインコミュニケーションを使って外に様々な出会いを求める人も多そうな気がしています。

また、仕事において新しい人脈が求められるのが、この年代という話もあるのかも知れません。

5. SNSの衰退

私のまわりでは「mixiを使わなくなってきた」と言う人が多くなってきました。 全体的にそうなのかは、良くわかりませんがSNSの衰退が始まり、一つの時代が終わったような錯覚さえ覚えます。

SNSと言えば紹介制やパスワード保護というのは間違いですが、いわゆるmixi風のSNSが最近下火っぽくなっているのは、安全だと思っていたけど実はそうではなさそうだという認識が広がったことによるのかも知れません。 例えば、パスワードで守られていると思っていたら画像ファイルだけはURLさえわかれば無制限にダダ漏れ状態とかですかね。

また、強固なソーシャルリンクを意識したり、リアルでの繋がりを維持するために細かい気遣いが必要になって疲れるというのもありそうです。 足跡や最終ログイン時間が公開されているというのがプレッシャーになるということもあります。 「mixi疲れ」という単語があるぐらいですし。

Twitterの良い所って、発言さえしなければ見ているかどうかもわからず、メッセージが届いているかどうかも定かではないというのが当然になってる雰囲気かなぁと個人的には思っています。 気楽なんですよね。 まあ、その雰囲気は自分が所属しているクラスタによって違うのかも知れないとは思いますが。

とはいえ、国内のmixi利用者数とTwitter利用者数を比べると、mixiの方が圧倒的に多く、Twitterは非常にニッチです。 大学生風の女性が「ねぇねぇ、mixiやってる?携帯から見るんだよ」と言っているのを電車内で耳にしたのは数度ありますが、SFC周辺以外の地域で女子大生風の人が「ねぇねぇ、Twitterやってる?つぶやくんだよ」と言っているのを聞いた事がありません。 (余談ですが、SFCのバスの中などでは学生がTwitterの話をしているのを良く耳にします。)

6. いつまでも出会い系を続けているとは思えない

とはいえ、人はいつまでも常にオープンであることは非常に少ないと思われます。

最初のうちは、プラットフォームであったり業界に慣れていので、出来るだけ色々吸収しようと思って対外的な対応も非常にオープンである事が多いと思います。 しかし、徐々にコミュニティが出来上がって来ると、排他性を持ってくる場合があります。

また、Twitterでのフォロー数という問題もありそうです。 同時にフォローする人数が増えて来ると、Timelineの流れが加速して行き、そのうち自分の能力の限界を感じるようになります。 数千人をフォローしている方々もいらっしゃいますが、各自が「自分に適切なフォロー数の限界」というものを持っているのではないでしょうか?

例えば400人ぐらいフォローするのが限界かなぁと思っていると、無条件に新しい人をフォローしようとはしなくなり、フォローを行う事に対する敷居は上昇します。 最初の方にフォローした人々とは「フォローするかしないかの判断基準」が、かなり変わってしまいます。

そのため、Twitterが「出会い系」であるか無いかは、各ユーザがいつからサービスを利用開始しているかなどの要素によっても違いがありそうです。

7. 繰り返しと認知だと思う

Twitter上で、知らない人同士が何となく会話を開始するようになるのは、繰り返しによる認知が発生するのではないかと考えています。 Twitterは、一つ一つのメッセージが短く、投稿量が多くなる傾向があるため、同じアカウントによる発言を目にする回数が増えます。

「あ、またこの人と会話してる」というのが繰り返されると、「この人知っている」という感じになるのかも知れません。

何かの「情報」に関しても同様です。 自分の周りに特定の事柄に対する興味が強い人がいると、特定の分野の情報が強制的に視線(Timeline)に投入されていく感じになります。

これを強く感じるのは、自分の知り合いが何かのイベントに行っていて、イベント会場からTwitterで「中継(tsudaる)」を行っている時です。 イラン関連の情報がヒートアップしたときも、自分では全く調べていなくても情報が自分に注がれて来るような気分でした。

ReTweetと呼ばれる慣習も、これを加速させます。 多くの人が繰り返し単一の発言を復唱しながら転送していくため、人によっては同じ発言を何度も目にします。 多くの人が発言を復唱し、放射状に特定の情報が一気に広がるイメージです。 自分の発言がまわりまわって、自分の元にたどり着いて来ることもあるので面白いです。

このように、Twitterは「短さ」と「頻度」の相乗効果によって、他のWebサービスよりも強い「刷り込み効果」がありそうだと考えています。

8. でも、それは一つの発言の賞味期限が短い事も意味している

これは、一つ一つの発言の有効期間が一瞬で終わることとのトレードオフではないかと個人的には思っています。 ブログでは、書いたそばからコンテンツが「消費」されていくような感覚もありますが、実際には後から読む人もたまにいます。 誰かに紹介されれば古い記事に対して爆発的なアクセスが発生することもあります。

しかし、Twitterでは、あまりにメッセージが短く、そして数が多いので、時間とともに昔の発言は忘れ去られます。 例えば、何かのリンクを紹介したとき、そのリンクを辿ってアクセスをする人の9割は5分以内に発生しているイメージがあります(bit.lyによる短縮サービスはアクセス発生時間をグラフにしてくれます)。 そして、その後はまばらにしかアクセスは発生しません。

複数の人間が自律分散的に何かに興味を示した時等には、大きな波が発生しますが、その波は一瞬で収束してしまうことも多い感じがしています。

9. Social Marketing Platform?

Social Networking的な側面が強いと感じるTwitterですが、メディアでの露出が増えるにしたしたがって加速度的に「マーケティング」とか「販促」に利用しようという試みが広がっているように感じます。

そのような方々にとっては、Twitterは恐らくSocial Marketing Platformに見えるのだろうと思います。

中には堂々とアカウント名に「○○宣伝」「○○販促」「○○売り上げ倍増」と書いてある事例もあります。 感想としては、大抵は山のようにフォローしていてフォロワーが非常に少ないアカウントが多いようです。 さながら海外のエロSPAMアカウントが日本語化されつつ、伝えようとしている内容がプロモーション活動支援という感じですかね。 現時点では、まだ試行錯誤を繰り返されているという雰囲気です。

どのような手法がBest Practiceなのか良くわかりませんが、国内で様々な事例が積み重ねられて行きながら、いずれはSocial Marketing PlatformとしてのTwitterも洗練されていくのかも知れません。 (もちろん、その前にTwitterそのものが失速して、やっぱりキャズムを超えなかったという可能性もあります)

まあ、ブログがここ数年で辿った道を、これからTwitterが辿るかも知れないと思うと、何が発生しそうかの推測はしやすいのかも知れません。 明るい側面があれば、暗い側面もあり、特定の事象が正なのか負なのかは各自の立場と業界によって異なるという感じですかね。

最後に

TwitterがSocial Network Serviceなのか、Social Networking Platformなのか、Social Marketing Platformなのかは、各自がTwitterを利用する目的と、自分のフォロー/被フォローの構成によって変わってくるのだろうと思います。

仲間内で閉じたSNS状態の用途もあれば、ひたすら知人を増やすために利用しているクラスタもありそうです。 そして、それらは自動的に棲み分けが行われて、クラスタが構築されて行くのだろうと思います。

ポケベルが登場したり、メールが登場したり、インターネット掲示板が登場したり、携帯メールが登場したり、メッセンジャーが登場したり、ブログが登場したり、といつの時代でも新しい人々のコミュニケーション手法というものは非常に興味深いと思う今日この頃です。

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