ShowNetを支えるボランティア、「STM」とは? / Interop Tokyo 2009 ShowNetインタビュー(4)

   このエントリをはてなブックマークに登録    2009/5/29-1

ShowNetの構築と運用を行うボランティアであるSTM(Shownet Team Member)に関してNEC 金海好彦氏、(株)ユビテック 清水隆宏氏、(株)アレフネット伊藤孝一氏にお話を伺いました。

Q: STMとは何ですか?


伊藤氏

伊藤氏:STMは、ShowNetを幕張メッセ内に構築するためのボランティアメンバーの総称です。 STMの主な作業はShowNetをイベント会場で構築し、実運用で起こる様々なトラブルをNOCメンバーと共に対処することです。 ShowNetはInterop期間中にだけ存在するネットワークです。 そのため、ネットワークの構築と運用が毎回ゼロから行われます。 日頃の業務では、このようにISPを立ち上げるのに近い経験はなかなか出来ません。 そのような経験を得る場としてSTMがあり、STM活動を通じて次世代のネットワークエンジニアを育成するという目的もあります。

Q: STM活動は教育に重点をおいているのですか?


金海氏

金海氏:昔と今の違いですが、今はゼロからあの規模のネットワークを作るというのがほぼありません。 繰り返しになりますが、それを作りあげるという活動に参加できるのがSTMの最大の魅力だと思います。 ネットワークを最初から作るという作業を通じて得る物が必ずあるはずです。

また、STMには次のNOCメンバを育成するという目的もあります。 実際にNOCメンバの高齢化も進んでいます。

ネットワーク技術者の世界にも色々なノウハウなどあると思うのですが、この業界では一子相伝的なところがあるんですよね。 例えば、BGPの運用を教え込まれる新人は先輩の弟子になるような形で教育をうけると思います。 このようにSTMプログラムを通して、ノウハウの移管・共有を図っていきたいと考えています。


清水氏

清水氏:私も当初はSTMでしたが、今はNOCとして活動させて頂いています。 次の世代に役割を渡して行くという面を考えるとSTMの活動は非常に重要だと考えています。

最近は特にインターネットのインフラに興味を持つ人が少なくなって来ています。 多くのエンジニアはWebとかデータマイニングなどに興味があるように感じることもあります。 私としては「インフラを作るのも楽しいよ」とか「インターネットそのものを作るのも楽しいよ」ということを伝えて行きたいと考えています。

ただ、人は世代やその時代背景に応じて育った環境が違います。 若者とそうでない人では生活が違います。 同じ世代だけがいつまでもネットワークのデザインをしていても限界があると思うんですよね。 色々な世代が未来の夢の環境をどうやったら実現できるのかというのを一緒に考えたりしたいんですよね。 そして、それを本当に出来るような世界でも数少ない場だと思います。

Q: どのような基準で選考を行いましたか?

伊藤氏:今年は、説明会を3会場で行いました。 そして、説明会をした後で面接を行いました。 NOCメンバから見て「一緒に働きたい人」という基準で学生/社会人を問わずに選考しました。

選考基準には年齢などを含めた将来性や、話してみてどん欲に何かを吸収したいと思っているかどうかなども含まれています。

金海氏:選考の際に、各個人が持っているスキルよりも「やる気」を優先しました。 ネットワーク関連の仕事なのでスキルを持っている人はいます。 そのような方々は、確かに現場で力になり得ると思います。 しかし、そういった側面よりも本人のやる気や、スキルを吸収することへのどん欲さ、目指している所を共有できそうかどうかなどを面接時点でのスキルよりも優先しています。

清水氏:同じ志を持てるような人がそれぞれの得意分野で能力を発揮する事で、どんどん活動の中心メンバーになっていくのがSTMやNOCだと思います。

Q: STMってどんな事をするんですか?

金海氏:STMの活動には配線や設営やトラブルシューティングなどがありますが、機器の設定なども行います。 例えば、BGPやOSPFなどの設定をルータやスイッチに対して実際に行って頂いたりもします。 また、去年は運用をしていくうえで重要なアプリケーションをSTMにお願いして実装してもらいました。 実装してもらったのは、各機器のリンクがアップしているかどうかを確認し続けるようなツールです。 STMに求められるのは現場での適応力ですかね。

清水氏:STMとして参加するメリットは設定などによる経験だけではありません。 自分の普段の所属とは違う人と一緒に仕事できるという魅力もあります。 全く視点が異なる人との交流には新しい発見が多いです。 社会人は学生から、学生は社会人から情報を受け取って行くような形がありますね。

Q: 最後に未来のSTMの方々に一言お願いします

金海氏:STMはDNAを引き継いで行く活動の一貫です。 参加する時点で何らかのスキルが必要というわけではありません。 NOC側としてはSTMとは差がないと考えています。 去年のアンケートで、「私がNOCに勝ってる点」という質問をしたら、色々な回答が出ました。 何かに自信を持てる若者を発見していかなければいけません。

伊藤氏:ほとんどのNOCメンバはSTMから始まっています。 個人的には、ファイバとかL1の管理を奪って行ってくれる人を発掘したいですね。

Q: ありがとうございました

ありがとうございました

(撮影:森田兼次)

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