剣道八段戦 取材記

2009/4/19-2

本日、名古屋で開催された全日本選抜剣道八段優勝大会の取材に行ってきました。 今回、全日本剣道連盟の許可を頂いてブロガーとして取材に行きました。 八段戦の観戦はもとより、剣道の試合をブログ媒体として取材に行ったのも初めてでした。

超人達の祭典

八段戦は、八段というある種最高峰の先生方が技を競い合う大会です。 出場選手の最年少52歳が最年長62歳という高齢者大会ではありますが、年齢を感じさせない力強い試合ばかりでした。 この試合に出場されるような先生方と竹刀を交える機会を頂いたとしても、恐らくまともに立っていられないぐらいボコボコにやられると思えます。 面を着けた状態で試合だけを見ていると30代と言っても通じるぐらいの機敏な動きでした。 試合が終わり、面を外した主観に出現する白髪とのミスマッチ具合が非常に際立ちます。

剣道には「修行期間」というものがあり、高い段を取得するには長年の「修行」が要求されます。 しかも、八段は恐ろしく狭い門です。 例えば、平成20年の八段審査では約1400人が受験して合格したのは13人でした。 八段を取得しつつ、この大会に出場される選手の先生方は、ある種のバケモノ(もしくは超人)です。 どう考えても定年前の動きではありません。

決勝戦

決勝戦は59歳の濱崎選手が54歳の古川選手に勝利したという結果でした。 最後の小手は、濱崎選手の充実した攻めに古川選手が浮き足立った瞬間に狙い済ましたようにバックリと入った職人技ともいえる芸術的なものでした。 写真を見て頂くとわかると思いますが、古川選手は両足が地面から離れてしまっています。

50代での5歳の差は非常に大きいと関係者の方がおっしゃっていました。 決勝戦で59歳の選手が54歳の選手に勝利するというのは凄いことなのだろうと思います。

独特の静寂

八段戦は、全日本選手権とは違った雰囲気があります。 会場が1カ所ということもあり、全員が二人の選手の一挙一動を見守ります。

竹刀を交わしながらじっくりと攻めたり牽制しあうことが多い試合に、会場全体が息を飲んで注目します。 あまりの静寂さに、体育館の空調の音ばかりが耳に入ります。 そして、突如として激しい動きが始まり、一連の動きが終了して両選手が間合いを取る一瞬の間に観客席からため息が漏れます。 決定的瞬間を撮影しようと頑張る私は、息を止めてファインダーを覗き込んでいました。 「来る!」と思った瞬間からシャッターを押す人差し指まで命令が伝わり、シャッターを押して多少のタイムラグが発生してから写真が撮影されます。 そのため、一瞬の油断で決定的瞬間を逃します。

静まり返った会場で、たまに小さい子供の泣き声などがこだまします。 何か凄い一撃が出ると、会場から「おおおおー」という声が漏れ、美しい打突が決まると 「スゲー」という声とともに大きな拍手が発生します。 静寂とざわめきの連続が何度も続き、勝負が進んで行きます。 両選手が決定打を決められずに、10分の時間切れを示すブザーがなると会場全体が「ハァ〜」と息を吸い込む様子が伝わってきます。 それまで張りつめていた空気が一瞬緩みます。 そして、審判の「延長始め!」のかけ声とともに再び会場に緊張と静寂さが戻ります。

すぐ目の前に選手が来た時の息づかいや、目前で竹刀と竹刀がぶつかり合う様子は圧巻です。 決定的瞬間を撮影出来なかった時には、非常に残念な気分になる一方で、打突の瞬間を写真に納めらた時ほど嬉しい瞬間はありません。 恐らくこの興奮は、現場で試合を見ないと伝わらない気がしますが、とにかく凄い場でした。

今回の取材

今回は様々な発見がある取材でした。 プロのカメラマンさんの横で撮影を繰り返したり、自分で実際に撮影してみて雑誌に掲載される写真の質の高さと素人には超えられない壁を実感しました。

しかし、全てが終わった後にぐったりとしてしまいました。 私にとって、今日一日は非常に中身の濃い一日だったと言えます。

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