知識人/有名人が情報発信すべき理由を一つ

2009/6/6-1

日本のネットが「残念」なのは、ハイブロウな人たちの頑張りが足りないからかも知れない:小鳥ピヨピヨ」という記事がありました。 日本のネットがサブカルチャーばかりなのは、最先端・最高峰の一流の人たちによる情報発信が少ないからではないか?という問題提起がされています。 その理由としては、一流の人になればなるほど「忙しいからネットをやらない」という状況があるのではないかとも推測されています。

個人的には非常に同意するのですが、一方で「インセンティブが無い(少ない)」というのも大きな理由の一つだと思います。 「ネットで情報発信をしなければマズい」と強く思える何かがきっと必要なんだろうと思っています。

情報発信すべき理由

個人的には、今後は特定の業界で有名な知識人は情報発信を行った方が良いと考えています。 その理由ですが、「情報発信をしていないと、なりすましで狙われやすくなるから」というものが挙げられます。

本物がWeb上に居なかったり、Web上を監視していない事をいいことに、好き勝手されてしまいます。 芸能人などであれば、本物かどうかの詮索が勝手に開始されるので良いのですが、多くの人々が本物かどうかを本気で探すかどうかが微妙なラインの方々の場合、野放しになる期間が長くなりがちです。

悪意や揶揄が目的でやっている場合もあれば、 「本人がWeb上で情報発信をしていないから代わりにやってあげよう」という「善意」でやっているファンという場合もあり得ます。

個人的な感想としては、「その媒体で情報発信をしていない人」の勝手アカウントが多い気がしています。 既に情報発信をしている人はあまり狙っても面白くないのかも知れません。

事例紹介

今回はTwitterしか調べませんでしたが、恐らく各種Webサービスやブログで「偽物」は色々あると思われます。 (教えて頂いた方々、ありがとうございました!)

高田純次

偽物です。

http://twitter.com/TakadaJunji (偽物)


小倉優子

何故全て英語???

http://twitter.com/YukoOgura (恐らく偽物)


梅田望夫

本物があっても偽物が作られることがあります。 この場合は、本物を揶揄する目的で偽物アカウントが作成されているものと予想しています。

http://twitter.com/mochioumeda (本物)

http://twitter.com/umedamochio (偽物)


ダライラマ

偽物っぽいダライラマTwitterアカウントについてのTIME記事

一時は2万近くのフォローがあったのが、今は200程度にまで減っているようです。

伊勢丹新宿

ある日、Twitterでisetan_shinjukuというアカウントが突然出現して、無差別に色々なユーザをフォローし始めました。 アイコン画像として伊勢丹のロゴが使われていた事もあり、一部の人は信じていたようです。

また、例えばアルファブロガーのアキヒトさんは「伊勢丹からは公認であるとの発表等はありません」という注意書きはされつつも「仮に上記のアカウントが本当に公式だったとすると、伊勢丹新宿店は RSS より先に Twitter を用意したことになります」という風に紹介しています。 (POLAR BEAR BLOG:Twitter が RSS リーダーを殺す, 偽物という追記はあります)

驚くべきは、アカウント名とアイコン画像だけで「信じてしまう」人が結構発生することです。 心のどこかでは「本物かどうかわからない」と思いつつも、「本物なら良いなぁ」という願望がそうさせているのかも知れません。

事例総括

このように、現状では「オンラインプレゼンスを構築しない」ことそのものがリスクに成り得るのではないでしょうか? といいつつ、ここで挙げた事例のほとんどは「別媒体でオンライン発信を行っている人や組織がTwitterでなりすまされている」というだけな気がしてきました。 まあ、とりあえず多少ずれているかも知れませんが、許して下さい。。。

不快感すら伝えられない

オンラインでの発信メディアを自前で持たないと、偽物に対して不快感を伝える事すら出来ない場合もあります。

例えば、Twitterで自分の偽物アカウントが作成された場合、自分が情報発信をしていなければ、偽アカウントに対して不快感を示すことが出来ません。 コメント欄がオープンになっている偽ブログであれば、偽ブログのコメント欄に書き込む事で運用者に警告が可能ですが、Twitterなどでは「相手に警告を届ける」こと自体が困難です。

自前のブログやTwitterアカウントなどを持っていれば、公式アカウントから「これは偽物です」という発信をすることも可能です。 これが出来ないのは、実は結構つらいのではないかと考えています。

でも、徐々に情報発信され始めてる

とは言え、徐々にではありますが、今まで「Webによる自分専用メディア」を持っていなかった方々が情報発信を開始したり、「こんな職業の方もTwitterに!」という事例も出始めています。 徐々にではありますが、情報発信は増えてるのではないでしょうか。

他にも、実は大学教授や会社役員のTwitterアカウントは色々ありますが、実名を公表しない形で運用されていたり、周りの人しか知り得ないアカウント名で本名を明記せずに行っている事例が多いような気がしています。 mixiでの活動というのも多いですね。 基本的に「リアルでの知人」とのコミュニケーション用であり、情報発信が主目的では無いことが多いのかも知れません。

ただ、今後は情報発信的な側面を強く意識したオンライン活動へとシフトされる方々も増えるのかも知れないとは感じています。

今って、どうやって「本物認定」してるの?

現在、例えばTwitterアカウントがいきなり作成されたときに「それが本物かどうか」を知るには、「公式ブログに書いてあった」「本人に聞いた」「本人に聞いたと思われる人がアカウントを紹介していた」などの方法が多いです。

例えば、本人のブログで「Twitter始めました」とか、身元が分かっているブログやTwitterアカウントで「○○さんのアカウントが発行されました」というリリースがあったからという理由で信じるというのが現状なのではないでしょうか?

そういう意味では、現状のWeb上の本人確認は、Web Of Trust的な「信用」で成り立っていると言えるのかも知れません。

認証局みたいな物が必要?

ネット上のURLが「本人によって発信されていることを保証する」ような組織が将来的には必要になって来るのかも知れないですね。 「このブログは本当にこの人ですよ」とか「このTwitterアカウントは本物ですよ」というような事を示してくれるような機関が無いと、多くの人は「本人であるかどうか」がわかりません。

現状では電子証明書を発行するCA(Certificate Authority,認証局)というものがありますが、主に署名鍵を管理するために運用されており、例えばブログが誰の物かを示すためではありません。 今あるCAよりも、もうちょっとライトな感じで成り済ましを多少防げる仕組みって作れないですかね?

まあ、でも、逆に「強い信用」を与える何かができてしまうので、結局「証明書が必要じゃん!」という話に行きそうな気もしますが。。。 例えばDNSを乗っ取られたときには対応できないなど、真面目に考えると色々困難な点はあるのかも知れません。 (でも、そもそも証明書を使っているブログなんてほとんどないか。。。)

海外には「Valebrity」というソーシャルメディアで本物認定をするサイトはあるようですね。 Twitter、Facebook、MySpace、Bebo、などのソーシャルメディアアカウントとリアルの有名人(セレブリティ)を結びつけるサイトのようです。

もしかしたら、このように「有名人アカウント」を列挙するだけでも本物と偽物の区別はできるのかも知れません。 運用方法としては、本人が申し込んだ時にだけやるCAに近い方式が望ましいのでしょうが、実際に普及するのは「勝手に列挙」方式かも知れないと予想しています。

皆様も周りの「偉い人」を引きずり込みましょう!

ということで、ブログでもTwitterでも何でもいいので、身近な「偉い人」に啓蒙してみませんか? 自律分散的に各自が動く事で、きっと日本のWebも「残念」では無くなりますよ! (参考:日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編)Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編))

ということで、皆様がんばりましょう!

余談

「ハイブロウ(highbrow)」という単語を知らなかったので、オンライン辞書で調べたところ「知識人、教養人」という意味の単語のようです。 しかし、どうも嫌みな意味で否定的に使われる事も多いような説明があったので、今回は「知識人/有名人」という表現にしてみました。

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