オープンソースに貢献する日本人エンジニアが少ない理由

2008/2/13

Mozilla Japanの金井玄氏のブログで「Open source contributors in Asia」という記事が書かれていました。 アジア地域では、OSS(Open Source Software)を使う人が多いのに貢献が少ないのは文化的な要因が大きいのではないかと書かれています。

Linux FoundationのJim Zemlin氏とLinus Torvalds氏の対談の中でTorvalds氏が文化的側面が大きいのではないか、と述べている点に注目しています。 原文では、じゃあ文化的側面とは何だ?という事に関しては明確に書かれていない気がします。

原文は「アジア人」とひとくくりにされていますが、個人的には日本とその他のアジア地域で「文化的側面」が同じとはあまり感じられなかったので、とりあえず、「日本人」というカテゴリで思いつくだけ列挙してみる事にしてみました。 思いつきで列挙しているので、適切ではない物も含まれるかも知れません。 「文化的側面」以外の理由も思いついたものは書いています。 また、追加などがありましたらご指摘頂ければ幸いです。

  • 忙しすぎる。
  • 平日には時間が無く、彼女/彼氏とのデートは休日のみ可能。 彼女/彼氏とオープンソースへの貢献を天秤にかけると、オープンソースが負ける。
  • 家庭持ちは休日しか家族と接する時間が無く、その休日にオープンソースへ貢献してしまうと、家庭が崩壊する危険性が高くなるから。
  • 滅私奉公を美徳とする上司/同僚が会社外の人のために貢献することを理解してくれない。
  • 会社にバレる事を恐れている。
  • ネット上に名前を晒す事を恐れている。
  • 主張するのが苦手。控えめに発言などをするため「成果」を積極的な他者に持っていかれる。
  • マルチバイト問題への取り組みに多くの人員が裂かれてしまう。結果として他分野への貢献は減る。
  • 英語が苦手。
  • 時間をかけて英語の文章を考えているうちに、他の誰かが提案をしてしまう。何度かそれを経験するとやる気をなくしてしまう。
  • 直接的な発言が多いコミュニティに入る事が苦手。
  • オープンソースに貢献して名前を売ることで転職しやすくするという問題意識に魅力を感じない人が多い。
  • 転職が多くなったとは言え、まだ多数派ではないから。
  • 潰れそうに無い大企業に入ると名前を売る必要性が減るから。
  • オープンソースに貢献しないと自分の手元の環境で動かないという状況が減ったから。
  • 頑張っても誰も褒めてくれないから。
  • 「自分がやらなくても誰かがやってくれるだろう」という発想が強いから。
  • 上司/社長がオープンソースの存在を知らないから。
  • なんとなく。

そういえば、最近は私もオープンソースなコードを書いたり、パッチを送ったり全くしてないですね。。。 オープンソース系の何かやりたいなぁと思いつつ、どの分野の何をするかがで悩み中。 「悩む前にとりあえず、手を動かしてみそ」というご意見はあるとは、思いますが。。。 あーーうーーー。

関連

Matzにっき : 日本の技術者によるOSSの貢献が少ない理由 - WebStudio, 忙しすぎるから

追記:2008/2/14

コメント欄より。

確かに「このオープンソースプロジェクトは日本人が多大な貢献してるぜ!」リストを作るのは重要ですね。 それを見た人が勇気付けられ、やる気になってくれる可能性があると思います。 また、オープンソース界で活躍している人リストなども確かにあると良さそうですね。 金井様ありがとうございます。

以下、ご紹介頂いたCNETのブログ記事からアジア人が多大な貢献をしたオープンソースリストを要約してみました。

  • Ruby(日本、まつもとゆきひろ氏)
  • IPv6(日本、Itojun氏、KAME、USAGI)
  • KOffice and KSpread(インドネシア、Ariya Hidayat氏)
  • Apache AXIS Webサービススタック(スリランカ)
  • Seasar2アプリケーションフレームワーク(日本)
  • JFox (a J2EE container) and Orbas (a CORBA implentation)、(中国)
  • Sylpheed(日本、山本博之氏)
  • GCC and libc、(H.J.Lu氏)
  • Hermes H2O open source AS2 Messaging Gateway(香港)
  • Postgresql(日本、井上博史氏, 斉藤 浩氏, 石井達夫氏)
  • その他、Linux、PHPなどの「メインストリーム」に参加した無数のアジアン。例えばFreeBSDはアジア人が多い。

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