Creative Commons社がFlickr画像騒動で訴えられる

2007/9/24

以前紹介したFlickr画像騒動("flickrの画像を使って広告を作って問題になった事例")が訴訟に発展したそうです。 (Technobahn : クリエーティブコモンズを巡って米国人家族が訴訟で知りました。)

Virgin Mobileと共に非営利団体であるCreative Commons社も訴えられてしまったそうです。 (Creative Commons社が訴えられたのは理解に苦しみますが、ここでは調べてみた内容を重点的に書きます。)

訴えたのは写真を広告に利用された16歳少女の親のようです。 Flickrに画像を掲載したのは成人男性であるそうです。 訴えた内容は、16歳少女のプライバシーを侵害した事と、写真を掲載してしまった男性にCreative Commons社が十分に説明をしなかったことだそうです。

以下、色々なソースに書いてある事を要約してみました。 英語の読み違いなどがある可能性があるので、原文を是非ご覧下さい。 内容に間違いなどがありましたが、ご指摘頂ければ幸いです。

オーストラリアの新聞記事より

オーストラリアの新聞記事「Virgin sued for using teen's photo」に訴えた家族のコメントが紹介されています。 写真が広告として掲載された少女の兄(27歳)のコメントとして以下のような内容が紹介されています。

問題の広告には「Dump your pen friend」と「Free text virgin to virgin」と書かれていて、少女の教会(キリスト教?)での友人多数がそれを見たそうです。 (virginには処女という意味があります。Virgin Mobileという社名と少女のvirginをもじっているようです。) その内容が名誉毀損であるとコメントしています。

訴えは米国テキサス州ダラス(Dallas)で行われたようです。 訴えられているのはVirgin Mobile USA LLC、Virgin Mobile Australia、Creative Commons Corp.だそうです。

Virgin Mobile USAのコメントとしては「広告と米国法人には関連がないので訴えから外してもらうように要請している」というような事をコメントしているようです。 Virgin Mobile Australiaのコメントは「訴状が届いていないのでコメントできません」というような事を言っているようです。

Lessig教授のブログ

訴えられてしまった形になるLessig教授のブログに本件に関する記事が掲載されています。 訴訟に直接関係することに関しては述べる事は出来ないと言いつつも、背景にある内容に関しては色々書いてあります。

まず、Slashdotのスレッドに言及しています。 Slashdotでの議論は、概ねバランスの取れたものであると書いていますが、一部ミスリーディングであると述べています。 Slashdotの記事は「Virgin MobileはCCを満たした」と書いていますが、原告はそうは思っていないようです。 写真撮影者は、自分の名前を広告に掲載していないため、Virgin MobileがCC Attribution Licenceに違反していると訴えているそうです。 (Virgin Mobileは、FlickrへのURLを掲載していましたが、撮影者の名前を明示的に書いていたわけではないようです)

レッシグ教授のブログでは、CCはプライバシーに関しては(まだ)考慮したことがないと述べています。 そのため、プライバシーに関してCCが十分に通知していなかった事が問題として成り立つかどうかは疑問だと述べています。

また、CCは権利保持者が好むライセンスの整備を行ってきており、これからも続けるそうです。 ライセンスは出来るだけ簡潔にわかりやすくするように努力しているそうです。 ただ、今回のケースでわかるように、CCのスコープ外だったところにも、まだやるべきことは残されていると書いてあります。

最後に、Lessig教授のブログでは営利目的での利用と非営利目的での利用のギャップについて語っています。 非営利での共有文化は成り立つが、営利目的のためにタダで素材を使う事に関して抵抗を覚える人は依然として多いと述べています。 これらの問題は非営利ライセンスで解決しようとしているそうです。

Joi Ito氏のブログ

Joi Ito氏もこの訴訟に関してブログ記事を書いています。

そこでは「これはコピーライトとその他権利の組み合わせによる複雑さの良い例である」と述べられています。 また、「CCで公開されているからといって、それをどう使っても良いというわけではない」とも述べられています。 「地域により、著作権/モラル/プライバシーなどが異なっており、それらを理解するのは再利用者の責任である」とも述べられています。 さらに、営利目的での利用は様々な権利をトリガーしてしまう可能性があることと、CCライセンスの写真は撮影者が持つ権利のみに対して有効である可能性もあることが述べられています。

Joi Ito氏はiCommons Photo-Commons nodeで少人数の写真家と一緒に、このような問題に対処する方法を模索しているそうです。 Creative Commonsは重要なプロセスであるが、それだけでは不十分で、全てをカバーするにはCC以外にも必要であると述べてJoi Ito氏のブログは締めくくってあります。

最後に

以前、この問題を調べたときとは比べ物にならない規模の話題に発展してしまっている気がします。 何か話が理解できない方向に暴発してしまった気がします。 何故Creative Commons社が訴えられてしまったんでしょうか。。。 Creative Commons社がFlickrを運営していると勘違いしているのでしょうか???

しかし、この問題は著作権、肖像権、プライバシー、未成年、営利利用/非営利利用、表現方法による権利者の感情、など様々な状況の組み合わせがあり得るという事を示しているような気がします。

参考

もしよろしければ、以下も参考にご覧下さい。

Slashdotのスレッドは非常に読み応えがあります。 是非ご覧下さい。

結城浩さん:クリエイティブ・コモンズのライセンスをWeblogツールで使うことの危険性

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