効用のある「釣り」

2007/8/22

Web上で嘘の記事を書いて、騙されて情報を伝播させることを狙ったタイプの「釣り」というものがあります。 そのような「釣り」では、情報が十分広まった時点で「嘘でした。騙されましたね。」といった事を公にして、伝聞情報を伝えた人を揶揄したりしています。 このような行為を行うと、騙されたほうはあまり気分が良くありませんし、確信を持って嘘を広めることに対する批判もあります。 (特定の思想を持つ人を引き出す方の「釣り」や、「煽り」に近い「釣り」は今回は範疇外です。ご注意下さい。)

しかし、このような行為を行う人が定期的に出現する事は、実は価値があるのではないかと漠然と妄想してみました。

人は失敗によって多くを学びます。 また、特定の手口を知っていると、同様の攻撃を受けにくくなります。 例えば、オレオレ詐 欺の手口が有名でない頃は多くの人が騙されました。 しかし、多くの人が手口を知るようになると、騙される人は減りました。

同様に「釣り」記事によって「あ、騙された」という経験を重ねることによって、 「情報を鵜呑みにするのは危険だ」という認識が多くの人に伝わるのではないかと思われます。 そのため、定期的に「釣り」が行われると、人々のメディアリテラシ(情報リテラシ)が上昇するのではないかと考えました。

何故、「釣り」によるリテラシ上昇なのか?というと「釣り」は短期間でネタばらしが行われるためです。 インターネット上で間違った情報にアクセスすることは非常に容易です。 ただ、多くの場合、自分がアクセスした情報が間違っていると認識するのに時間がかかります。 そうすると、自分の知っている知識が間違っていたという認識をすることはあっても、「情報を鵜呑みにするのは危険だ」という認識にはなりにくいと思われます。

効用のある「釣り」の場合は、まだ人々の記憶に残っている間にネタばらしをしないと旬を逃してしまいます。 そのため、比較的早めにネタばらしが行われる傾向にあるようです。 そうすると、多くの人は「騙された」という認識を持ちます。 そして、同様の騙され方をしないようにと注意をするようになります。

ただ効用のある「釣り」は非常に難しいと思われます。 まず、他人に迷惑をかけてはいけません。 多くの人を信じさせつつ、騙された後に一部の人に和みが残るような「釣り」が理想だと思われます。 このような「釣り」に出会うことは年に数度ぐらいかも知れません。

最後に。 この記事に「釣られ」ないよう、ご注意下さい。

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