ある大工親子間での意見の衝突

2007/10/4

ある大工の息子が父親の文句を言っていました。 曰く「父は新しいものを取り入れようとしない。今は釘を打つための電動の道具はホームセンターでも買える。プロとはそれらの道具をいかに使いこなすかだ!」だそうです。

その大工は自分の父親の元で修行中だそうです。 話によると、父親は釘の打ち方を熱心に指導しているそうです。 大工としては釘の打ち方が基本で、まずはそのような基礎が非常に重要であるという主張であるそうです。 そして、父親は大工として一流の腕を持っているそうです。

しかし、息子の方はあまり納得をしていないようです。 「確かに釘の打ち方は重要だ。しかし、父は最新の道具は全く使えない。非効率だ。そんなのでは取り残されてしまう。」 という考えのようです。

確かに、最近は様々な日曜大工の道具がホームセンターで売っています。 昔であれば技術が必要であった事も、今は道具の使い方さえわかれば素人でもある程度できるようになってしまっています。

この話を聞いたとき「どこの業界でも同じような事ってあるんだなぁ」と思いました。 この話をプログラミングや通信技術に置き換えると、例えば以下のような感じになるのではないでしょうか。

最近の若い者はアセンブラを知らん。コンピュータの本質を理解していない奴が多すぎる。
年寄りはハードウェアに近い事ばかりしていて、流行に全然ついてきていない。マッシュアップなんてやったことないし、UIがあるものは書きたくないと言っている。
最近の若い者はC言語を知らん。ポインタの概念を知らずして効率的なコードが書けるのだろうか。
全てをネジから作ろうとしている。コンピュータは昔とは比べ物にならないぐらい早くなってるんだから、開発効率を考えて部品が揃っているものを使うべきだ。
最近の若い者はカーネルをいじらない。ドライバを書いた経験が無い人間が多すぎる。
やっぱWebでしょ。手元のOSは問題じゃない。
viとgccだろ。
eclipseでしょ。
最近の若いものはパケットを意識しない。電話の通信技術に興味を持たない人が多いのと一緒で、インターネットの通信技術も興味を持つ人がいなくなってしまったのではないか。
重要なのは通信しているパケットよりも、その上のアプリケーションでしょ。

非常に難しいですね。 どちらも正しい事を言っているような気がしますし、互いに論点(視点)が異なっている気もします。 恐らく、両方のバランスを取った状態というのが理想なのでしょうが、職人というのは特定のところをひたすら掘り下げるのが大好きなので、一点集中で何かに注目してしまう傾向があるのかも知れません。

世代によって技術に関しての考え方の大まかな傾向というものがある気がします。 その人が技術を学びながら成長する過程で世の中で大事とされてきた事は、その人にとっては成長しきった後でもずっと重要であり続けるのではないかと勝手に想像してみました。

以上、とある大工親子の葛藤に関する話から連想した話でした。

p.s. というか、上記コンピュータ系での例での父と子は言っている事を見ると、そんなに年齢離れてないですね。。。というより、そもそも例が悪いかも。。。まあ、許してください。良い例募集です。

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