「ブログがつまらない」議論に関して思ったこと

2007/11/17

かなり今更な感じですが、以前の「ブログがつまらない」議論で個人的に思った事を書きたいと思います。

まず「RTC Vol.28の告知 | 近江商人JINBLOG」において、ブログが「つまらない」という表現がありました。 それが大きな反響を呼びました。

反響は「今」のブログが面白いかつまらないかより、どうすればもっと面白くなるかを考えたいでまとめられています。

個人的な感想としては、ブログなどのアグリゲーションを行っているサービス提供者の視点と、新規参入者が入ってくるにはどうすべきかという視点が多分に含まれていて、あのような発言になったのではないかと予想しました。 以下の文は、ブログが「つまらない」という発言と、まとめ記事で紹介されている各記事から連想したものです。

「つまらないもの」の意味するところ

まず、「有名ブロガー」という表現を行っているところですが、これはブログを書き始める新規参入者を意識した文章であると思いました。 今後「ブログ界」が成長するには、新規参入者がドンドン増えて、活気に満ち溢れて欲しいという願いが背景にあるのではないかと想像しました。 (私の勝手な想像なので、本当かどうかはわかりませんが。。。)

その、新規参入者の中でも「読者を集めたい」「ブログ界で有名になってやる」という野心がある人というモデルがあるのではないかと勝手に想像してみました。 そして「有名ブロガー」という表現は、時間が経過するとともに新規参入者がブログランキングなどで上位にランクインするのが絶望的に難しくなりつつある現状が念頭にあって「つまらないもの」という表現をしたのではないかと思いました。

確かに、RSSリーダーの購読者数などを見ていると2年以上前ぐらいにブログを開始した人と、今から開始する人の間にはブログランキングの上位になるための敷居というのは格段に高いものになっている気がします。 「アルファブロガー」と呼ばれている「有名ブロガー」な方々のブログの購読者数は日々上昇しています。 今から開始するブロガーがいくら購読者数を増やしても、「有名ブロガー」がその数倍の勢いで購読者数を増やせば、追いつくのは絶望的に難しいです。

ただ、個人的にはランキングのトップになるのは日々難しさが増している気がしますが、読者を増やすという視点では、エッジを利かせた内容の記事を書き続ければできるのではないかと考えています。 (私がそれをできているかどうかは棚に挙げて書いています。ご注意下さい。) 世の中に無い、もしくは少ない、情報を出し続けることが可能であれば読者は自然に増やせるのではないかと思います。 そのような意味で「有名ブロガー」と呼ばれる方々の存在が、新規参入ブロガーにとってブログを「つまらない」ものにしているとは私は思いません。

あと「つまらない」という表現はインパクトを狙ったものであると思います。 ただ、今回はインパクトがあり過ぎて、それがネガティブな方向にすっ飛んでいってしまったのではないかと勝手に思いました。

スパム系は一般の人にはあまり関係がないと思われる

トラックバックスパムの話がありますが、スパムは一般の人にとってはブログを「つまらなく」する大きな要素では無い気もします。 もちろんスパムは嫌ですが「つまらなく」する要素というよりは「うっとうしい」物である気がします。

自分がブログを運営しているとスパムは最高にうっとうしいものです。

しかし、ブログを読むことを専門にしている読者としては、スパムはどうでも良いものであると思います。 まず、他人のブログに書いてあるスパムメッセージやトラックバックスパムは華麗にスルーするのが普通だと思います。 また、普通に興味があるブログの本文からSEOスパム目的にスプログにリンクが張ってあることはまずありません。

検索エンジンで探し物をしていて、変なものに行き着く可能性はありますが、その場合は「ブログがつまらない」なのではなく「検索エンジン上位にこんなクズ持ってくるな」になると思います。

個人的な感想としては、スパム目的ブログで一番困る人はhatenaやnewsingなどの情報アグリゲーションを行っているサービス主体と、ブログ界に関する調査研究を行っているような組織ではないかと思われます。 また、ブログ界全体をとらえてブログマーケティングという事を考えている主体もスパムブログに困っていると思われます。 そのような視点からスパムがブログを「つまらなく」しているという発言があったのではないかと勝手に予想しています。

ブログ界全体が「つまらない」のであればそれはチャンスである

もし、仮にブログにあるもの全てが「つまらない」のであれば、今ブログを書いていたり、これからブログを書こうと思っている人には大きなチャンスなのではないかと思います。 「つまらない」中に「面白い」ものが現れれば、「面白い」ものが溢れている状況よりも、人気が出るのが簡単になります。 本当に世界全体が「つまらない」のであれば、それを悲観するのではなく「ウホ、狙い目」と考えると面白いのではないかと思いました。

皆が「つまらない」物しか生産できない状況でどうやって「面白い」物が生成できるんだよ!という反論はあると思いますが。。。

ただ、何が面白いかは読む人次第だと思います。 例えば、このサイトを定期的に読んで頂けている方々でも、人によってヒットとなる記事が大きく違う気がします。 (もちろんこのサイトの全てをつまらないという人も多いと思いますが。。。) 多くの方の反響でも書かれているとおり、万人にとって面白いものは存在しないと思われますし、逆に万人にとって「つまらない」ものもほぼ存在しないと思われます。

「面白い」と「読者数」と「影響力」は別物

私もこれらを混ぜこぜにしてしまうことが多いですが、考えてみるとそれぞれ独立した事象であると思います。 「面白い」から読者が多いなど関連はあると思いますが、それぞれ独立した軸で、その組み合わせで色々なものが出てくると思いました。

例えば、読者数が多ければ必ず「影響力」があるか?逆に読者数が少なければ影響力は無いのか?と言われるとそうでも無い気がします。 「影響力」というのは「読者数」よりも、その発言者のバックグラウンドによって大きく違ってくると思われます。 もちろん、「読者数」が多い方が少ないよりも「影響力」はあると思いますが、「○○の専門家が××と言っている」と場合によっては定期購読者が少なくても「影響力」はあります。

このように、それぞれ独立した軸なのかも知れないと、今回連想して思いました。

ブログ界が本当に「つまらない」のであれば、足りないのはブログのコンテンツ力ではなく、出会いである

恐らく、RTCの今回のテーマはそのような方向に行くのではないかと予想しています。 現状では、読む人が自分が楽しいと思えるピッタリとしたブログに出会うのは現状では非常に難しいと感じています。

コンピュータ系やIT系のブログ界は非常に整備されているので、他の業界と比較すると比較的良いブログに行き着く道路は整備されています。 しかし、それ以外の道路はあまり整備されていないような気がします。

例えば、金魚や熱帯魚や日本淡水魚が趣味である人は、どのブログを読むと良いのでしょうか? そのような業界では、ブログに触れた事がない人が、どこから読み始めて良いのかはわからないと思います。

それが熱帯魚というカテゴリの「ブログ界」を「つまらなく」している、というのはあるのかも知れないと思いました。 ただ、それは、世の中にあるコンテンツが駄目なのではなく、良質コンテンツに出会える道路が整備されていないところが大きいのではないかというのが個人的な感想です。

「ブログ界」が最高に楽しい時期があるとすれば、今現在なのではないかと思われる

ブログというものが最高に楽しい頂点があるとすれば、私はそれが今なのではないかと思います。

私がそう思うのは、それが本当に利益になるということが世間一般の常識ではないからです。 まだ、ブログだけで生活できるような人は日本でほんの数人な気がします。 ただ、「ブログ」やWebが大きな可能性を抱えているという認識を持っている人は日々増えており、色々と大きな変化が発生しています。

現時点の「ブログ界」というのは、まだ創世記++というような気がします。 一番変化が多く、トレンドの移り変わりが非常に多く、チャンスも多いのではないかと思われます。 そして、その状況を最高に楽しいと思える人にとっては、現在が「ブログ界」が最高に楽しいときなのではないかと思います。

「ブログ界」が本当に成熟しきってしまい、商業化とプロ化が本格的に進んでしまうと、今のテレビ局と視聴者のような関係になってしまうような気もするので、そうなっていない今は「狙い目」なのではないでしょうか。

これらはブログを書く人にとってですが。。。 書く人にエネルギーが溢れれば、それを読む人も楽しいだろうとこじ付けさせて下さい。

あと、まあ、ちょっと言い過ぎかも知れません。。。

最も楽しい情報は専門家の脳の中に

Googleは図書館にある知をオンライン化しようとしています。 確かに膨大な知が書物にはあります。

個人的には、世の中にもう一つ未発掘の膨大な知があると思っています。 それは、専門家の脳の中だと思います。 例えば、非IT系専門家の方々の脳の中から、専門的な情報を引き出して、ブログを共同運用すればその分野では最高に楽しいと思ってもらえるブログはかけるのではないかと思っています。

専門家は、何も学者でなかればいけないわけではありません。 例えば町の普通の八百屋さんでも私の知らない野菜の知識は豊富です。 色々な商品を扱っている問屋さんは流行を良く知っていますし、サラリーマンでも自分の属している業界に関してはその他の業界の人よりも格段に詳しいです。

専門家にとっては当たり前になり過ぎてしまい、一般の人が楽しいと思う内容を見過ごす事も多いと思います。 ブログを運用するノウハウを持ちながら、専門家と話し合い、うまくネタを連想させて掬い上げるという作業を繰り返すと楽しいのではないかと思われます。

ただ、それをやってどのように利益に結びつけるかという所が現状では非常に弱いというのがありますが。。。 また、NDAその他というのもありますね。

最後に

以上、ブログは「つまらない」という話で連想した事を色々書いてみました。 「つまらない」という一言で色々連想できたのが、私は「面白い」と思いました。

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